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第59回
思春期・青年期にこころの問題が出てくる理由の多くは不安から 親子の対話を大切にして、子どものこころに安心感を育てましょう
斎藤 まさ子(さいとう まさこ)先生
新潟青陵大学看護福祉心理学部 看護学科准教授。
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「サザエさん」の家族が理想と思われる理由は・・・ |
私は子どもの思春期についてお話しする資料として、18歳くらいの学生たちにアンケートをとったことがあります。家族像として思い出せるマンガやドラマを出してもらい、その中で理想の家族を聞いたところ、一番理想とするのは「サザエさん」の家族でした。随分昔からのマンガですし今の時代にそぐわないような気がしたので、その理由を聞いてみると、「安らげる」「明るい」「意見が言える」「怒るところは怒る」「仲がいい」という答えが返ってきました。なるほど、学生の抱く理想の家族は、まさにこれらの要素を満たしている家族だということが理解できました。
サザエさんの磯野家を見ると、大人にとってはどうということのない子どもの体験が話題になっていて、例えば生意気なことを言ったり宿題をしていないカツオは、父親に「ばかもん!」と叱られます。でも、家族はそんなカツオを気にして宿題を手伝ったり諭したりして、しまいにカツオが反省する……そんな日常の繰り返しなのですが、ここで注目したいのは、親子の「対話」がふんだんにちりばめられていることです。カツオとワカメは自分の考えをいつも言うことができて、その考えに家族が本気で向き合っている、二人ともそのまま条件なしで受け入れられているということが分かります。そのようなところから、学生たちはサザエさんの家族に安心感を覚えたのではないでしょうか。
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なんでもない日常の対話が大事 子どもの話を否定せずに聞きましょう |
近所づきあいや親せきづきあいが多かった昔にくらべ、現在は子どもに対する親の責任が重くなっていると思います。そんな中で小さいころは問題がなかったのに、思春期・青年期になってこころの問題をかかえてしまうお子さんも多くいます。思春期になるとこころの葛藤が出てくるのは当然ですが、それが問題といえるところまで発展する背景には、自分が受け入れられていないとか、自分に自信がないところからくる「不安」が原因となっていることが多いようです。まさにキーワードは「安心」。親子の関係を旅行や外食などのイベントでカバーしようとするのではなく、なんでもない日常の環境の中で子どものこころに安心感を育てることがとても大事だと思います。
ここでサザエさんを見習えば、安心という感情は対話をすることによって育てることができるのではないでしょうか。まずお父さんお母さんは、お子さんの話を毎日5分でも10分でもいいので聞いてあげてください。そしてそのときに気をつけたいのは、「でもね」と言うことを少しひかえること。お子さんの意見を最初から否定したり自分の思いを押し付けたりしないことです。評価なしで聞くことで、お子さんは自分の気持ちを言えるようになり、親に受け入れられることによって安心して、「これでいいんだ」という気持ちが日々培われていきます。
私は精神看護師として思春期・青年期のこころの病を抱えた子どもと向き合うことが多いのですが、安心感があればどんなにか楽になるんだろうな、と思います。子どもが抱えている悩みや出来事はどうしたらよいか分からないことだらけですが、親子で対話する環境があれば、子どもはいろんなことに悩みながら揺るぎながらも、成長していけるのだと思います。
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■思春期の子どもたちの理想は、意見が言えて仲がいいサザエさんの家族。
■こころの安心感を育てるには、日常の対話が大事。
■毎日少しの時間でも子どもの話を聞こう。
■子どもの話を最初から否定しない。親の思いを押し付けない。
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