第56回
完璧で正しい育児というものはありません。育児は笑って力を抜いて、自分に対して褒め上手でいることが大事です。
小林 美代子(こばやし みよこ)先生
新潟青陵大学看護学科准教授。

思いどおりにいかなくても、子育てをしていることに自信を持とう
 インターネットの普及などもあり、お母さんはいろいろな情報から、「こんなお産がしたい」とか「こんな育児がしたい」という思いを抱き、努力もされます。でも、時として思ったとおりにうまくいかないこともあります。例えば母乳で育てたいと思っていても、母乳が出ないこともあるでしょう。そんなときに「悪いのは自分のせい」と気落ちしてしまうお母さんが多いのですが、子育てには、こうでなければいけないという完璧で正しいものはありません。赤ちゃんの寝かせ方ひとつとっても、数年前の考え方と今では違う。私たちは模索をしながら子育てをしてきています。いろいろな子育てがあるのですから、楽な気持ちでいてほしい。「今、赤ちゃんが生きているということは、子育てをしている」ということなのですから、自信を持ってほしいと思います。よく、お子さんに対して褒め上手になりましょうと言いますが、お母さんが自分に対して褒め上手になること、それが、安定した心で赤ちゃんに接することにつながるのではないでしょうか。
 また、子どもに当たってしまうとか、自分の子どもがかわいいと思えない、さらには子どもが何か飲んでしまってどうしたらよいかわからないなど、子育てに悩んだり困ったり苦しいことがあったら、自分一人で背負わないで相談できる人に話してみることが大事です。助産師会の相談窓口などを利用し、小さなことでも相談してみてほしいと思います。
■日本助産師会「子育て・女性健康センター」
TEL.025(223)3231(電話受付 月〜金曜日 13時30分〜16時)

ほかの人が入る隙間をつくって子育てに力を抜けるような環境を
 最近、子どもへの虐待が問題になっていますが、実際には妊娠の契機や、とりまく人間関係、育児不安・負担も影響して起きていることが多いようです。
 昔、日本では赤ちゃんを着物で包み込んで置いておくという習慣があったそうです。そうすると、授乳以外のときには近くにいる人があやしたり抱っこしたりして子育てに関わることになるのですが、そういうオープンな子育てが現代にも必要だと思います。子育てが始まると、つい自分と夫と子どもの密な関係だけになりがちですが、ほかの人が入る隙間をつくってほしいのです。いろいろとお子さんへの思いがあったり、育て方に関して考え方の違いなどがあるかもしれませんが、おばあちゃんに見てもらうのも良いことだと思います。「おばあちゃん子になってしまうのでは?」と心配かもしれませんが、子どもなりにお母さんのことはちゃんと認識していますので、その関係が崩れたりしませんから大丈夫。いろいろな人が関わることで、お母さんはちょっと力を抜いて笑って見ていられる、そんな環境が子育てにはとても必要だと思います。


■思いどおりの子育てができなくても、子どもが育っていれば大丈夫。
■子育てをしている自分を褒めてあげよう。
■悩みは一人でかかえこまずに、相談窓口などに気軽に相談を。
■いろいろな人に関わってもらうことで、力を抜いて笑っていられる子育てを。



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