第51回
心の相談もできる学校の保健室。お子さんが教室にいたくないようなら、「保健室に行ってみてごらん」と話してあげてほしい
石アトモイ(いしざき ともい)先生
新潟青陵大学看護福祉心理学部 看護学科教授。教育学修士。

いじめなどの問題を抱えながら保健室に来る子どもが増えてきた
 お父さんお母さんは、学校の保健室にどんなイメージを持たれているでしょう? けがをしたり体の具合が悪いときに行くところと思っている方も多いかもしれません。
 確かに保健室の歴史を振り返ってみると、スタートは明治時代にさかのぼり、当時は看護婦の資格を持っている学校看護師が子どもたちの治療にあたるところでした。その後、一般教科学以外はほかの教諭と変わらない勉強をしてきた養護教諭が採用されるようになり、さらに、その役割が大きく変わったのは1997年のことです。「頭が痛い」「お腹が痛い」と言いながら、実はいじめなど不登校の原因となるような背景があって保健室に来ている子どもがとても多いことが分かったからです。免許法も変わり、養護教諭になるには心の面を見るための教科を学ぶことが必要となりました。すでに養護教諭になっている人たちも、心の面を見られるように、県や市が実習計画を立てた研修を受けることになりました。それまでは救急処置が養護教諭の主な仕事でしたが、健康相談活動(ヘルスカウンセリング)が大切な仕事として加わり、カリキュラムにも反映されるようになり、専門職として子どもたちのいろいろな相談を受けられるようになったのです。

不登校になりそうなサインを見逃さないように子どもと話し、見守る養護教諭
 今、保健室は小中学校で重要なところとして位置づけられています。というのは、子どもが不登校にならないための大切な役割を担っているからです。
 例えばAくんが「頭が痛い」と言って保健室を訪れたとします。養護教諭は「風邪かな?」などと本人と話しながら、症状によって手当てをしたり病院に行くことを勧めたりしますが、原因が分からないようなら「教室に帰っても大丈夫なようだけど、ここで様子をみる?」という対応をします。何気ないおしゃべりから、最近お母さんが忙しくて朝ごはんを食べていないようだとか、次の時間にある算数が少し苦手なことも原因では? など、Aくんが保健室を訪れる理由がいろいろ分かってくれば、担任の先生と話し合うこともできます。つまり、Aくんが学校にこられなくなってしまうサインを見逃さないようにできると思います。
 さて、子どもたちが行きやすい保健室とはどういうところなのかを研究した資料があります。それを見ると、いつでも手続きなしで訪れることができて開放的、きちんとすぐに処置してくれる、養護教諭が話をよく聞いてくれるなどの理由から「居心地の良い場所」になっているようです。ただ保健室にも行かず、遅刻や早退が増えて休みがちになり、学校にこられなくなるお子さんが多いのも現実です。
 もしもお子さんが学校に行きたくないというときは「保健室に行ってみてごらん。いろいろ相談できるみたいだよ」と勧めてみてください。子どもたちが、もっと保健室を気軽に利用して心をひらいてくれれば、と願っています。


■保健室は救急処置だけでなく、心の相談もできるところ。
■子どもたちの心の面を見て相談にのるのも、養護教諭の重要な仕事。
■子どもたちにとって保健室は居心地の良い空間。
■不登校になるサインを見逃さないためにも、気軽に利用し養護教諭と話してほしい。



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