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第44回
子どもに「読書が楽しい」という経験をさせることが大切。まず、大人が本(物語)の楽しさを知ることから始めましょう。
原田 留美(はらだ るみ)先生
新潟青陵大学福祉心理学科教授。日本女子大学大学院文学研究科日本文学専攻。文学修士。
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楽しいと思うことで「やってみたい」という、意欲を引き出す環境をつくろう |
保育の現場では、子どもがその遊びをやってみたいと思えるような環境づくりが大切にされています。家庭を、保育園や幼稚園といっしょにするわけにはいきませんけれども、子どもにとって「やってみたい」という気持ちは成長・発達につながる大事なことですから、このような環境づくりを意識することは家庭でも必要ではないでしょうか。
教員としての経験を踏まえても、読書量の多い子どもは、文章読解力や文章構成力、語彙(ごい)力、さらには必要な情報を検索・把握・取捨選択・活用する力に優れている場合が少なくないと感じます。けれども、それは本(物語)を読むことが好きになって、その後に付いてくるもので、子どもたちが本を手に取るのは、楽しいからにほかなりません。大切なのは、「本を読むことが楽しい」という経験を積み上げること、そのためには、子どもと本の出合いの仲立ちをする大人の側が、物語世界とどう関わるかも大事だと思います。
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大人の立場で児童文学を読むと視点が変わり、魅力が広がる楽しさがある |
では、本を読む環境をどのようにつくっていけばよいでしょう? 児童文学は子どもだけのものではありません。私は、まずお母さんお父さんご自身に、その世界を楽しんでほしいと思います。
良質な児童文学は大人にも自分と向き合う気持ちにさせ、ときにはドキッとするように課題を突きつけてくることがあります。おすすめの本を数冊ご紹介すると、「さんまいのおふだ」(松谷みよ子/童心社)は、スリリングでユーモアのある昔話。大人が子どもを見守る視線や度量の深さを感じ、親としてつかむものがあるのではないでしょうか。「宇宙のみなしご」(森絵都/講談社)は、中学生の視点で書かれていますが、現代の大人と子どもの関係にあらためて気付くと同時に、大人が自分を振り返るきっかけになると思います。香月日輪の大江戸妖怪かわら版シリーズ(理論社)は、妖怪世界に落ちこんだ子どもが、その世界の魅力的な大人たちに支えられ成長していく物語ですが、妖怪の大人たちの姿は、私たちが忘れかけている大切なものを思い出させてくれます。
次々に出版される児童文学のどれを読んでいいかわからないという方は、映画やアニメの原作を手にとってみるのも良いですし、様々な公開講座を利用するのも良いと思います。青陵大学でも社会人を対象に、「児童文学・ファンタジー講座」を開いていますので、児童文学に触れるきっかけにしてはいかがでしょう。
最近の生活にはビジュアル優先の娯楽が浸透していますが、本は、それらにはない世界をもたらしてくれます。言葉に親しむことで想像力がつき、目の前に無いものを心の中に描くことができるようになると、人の気持ちに対する理解が深まったり、その場の雰囲気を感じとれたりするようにもなるでしょう。大人が読書を楽しんでいれば、子どもたちも自然に興味を持ち始めます。さあ、今度はお子さんと一緒に、本(物語)をおおいに楽しんでください。
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■「読むことが楽しい」という経験を積み上げることで、子どもは本が好きになる。
■大人が本を読み、物語世界を楽しもう。
■大人の視線で児童文学を読むと新たな発見があり、面白さの幅が広がる。
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