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第43回
「待ち時間」は子どもの知恵や希望を育てます 入園・入学を待つお子さんに、自由な時間を過ごさせましょう
運上 司子(うんじょう しさこ)先生
新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。青陵臨床心理センター長。
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入園・入学を待つ自由な時間はお子さんにとって大切な時間
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進学の季節を迎え、入園・入学をひかえたお子さんたちは、今ごろどんな過ごし方をしているでしょう? この「待ち時間」は幼稚園や学校に通い始めてからの体験とはずいぶん違う独特の良い体験ができるチャンスだと、私は思います。
幼稚園や学校に入園・入学すると、集団の中で秩序や学問を教えられるという環境に入っていきます。社会性や知識を得るために通過する、とても意味のある体験過程ですが、そこには「待ち時間」のような自由さはあまりありません。そこで気になるのは、お母さんたちが、入園・入学前の待ち時間から熱心な準備態勢に入り、予備校のようにお子さんにいろいろ教え込んではいないだろうかということです。お子さんが新しい環境についていけるか不安であせるのはよくわかりますが、知識は学校に入ってからのお楽しみ。もしも心配なら、お母さんもお子さんと一緒に遊んでみてください。勉強を教えているときは頭しか見えませんが、一緒に遊んでみるとお子さんの得意不得意や、どんなときに癇癪(かんしゃく)玉を起こすのかなど、生きている全身がいろいろ見えてくると思います。子どもは、思いきり遊んで自由に想像し、新しい出発のときをワクワク、ドキドキしながら待つことで、成長し、新しい環境に入っていく心の準備を自発的にしているのです。
人間は知識をたくさん持っていても、それを使いこなせる知恵がないと意味がありません。計算が少しできなくても、心が開いていて人に習う知恵があれば、本当に困ったときの力になるものです。今、お母さんがお子さんにすべきことは知識を教え込むことではなく、自由な待ち時間を一緒に過ごして、これから学校で得る知識を使えるように準備してあげることではないでしょうか。
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いろいろな場面での「待つ」体験が子どもの心を育てます
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子どもは「待ちなさい」と言われながら育っていきます。例えばお留守番もその一つですが、一人ぼっちになっていろいろ考えたり、あれこれ空想をしたりすることで想像力を高め、「今度はああしよう」と工夫することを学んだりします。お父さんが帰るまで夕飯を待つ、おばあちゃん・おじいちゃんの家に行くのを3つ寝て待つ、欲しいものがあっても誕生日まで待つなど、待つ場面はいろいろです。子どもは、このようなさまざまな待ち時間を体験することで我慢ができるようになったり、「そのときが来ればかなうのだ」という希望や、実現したときには「やったー!」という喜びを感じることができます。そして同時に、自分なりの工夫をしながら待ち時間をクリアしたということが、本当の自信につながるのだと思います。
小さいころに一つでもいいから、頑張って何かを成し遂げた経験が、自信のもてる大人へと成長させるのではないでしょうか。そのためにも、待つという時間は無駄なようですが、とても大切な時間なのです。
◆おすすめの絵本/
「まんげつのよるまでまちなさい」(ペンギン社)
「夜を見たい」とせがむあらいぐまの坊やに、お母さんはどのように待たせ、待つ間に坊やはどのように成長したでしょう。待ち時間体験の大切さがよくわかる絵本です。
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■待ち時間は、子どもの想像力や知恵を高め希望を育てる大切な時間。
■入園・入学前の待ち時間を、知識を教え込む時間にしない。
■子どもなりの知恵で待ち時間をクリアすることが、自信にもつながる。
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