第40回
朝起きられない子どもは怠け者!?とは言えません。病気が原因のこともあるので、早めに治療をうけて改善しましょう
浅見 直(あさみただし)先生
新潟青陵大学看護学科教授、小児科医。

起立性調節障害」「鉄欠乏性貧血」「かぜ」を疑って、早めに小児科で診察をうけましょう
 朝、なかなか起きられないお子さんが多いようですが、それを怠けているからと一概には言えません。まったく病気でない場合もありますが、潜在的な病気があって起きられない場合もあるからです。「起立性調節障害」「鉄欠乏性貧血」「かぜ」がその原因です。
 起立性調節障害は、朝起きられない、立ちくらみがする、立っていると気分が悪くなる、体がだるい、慢性の疲労、思考力の低下、動悸、寝つきが悪いなどの症状が出ます。根底にあるのは自律神経の失調状態で、子どもは小学校から中学校にかけて急速に成長しますので、肉体的な成長と自律神経がアンバランス状態になってしまうことがあるのです。小児科で診てもらい、起立性調節障害であれば治療薬で改善できますし、何より本人が「朝起きられなかったのは病気のせいだったんだ」と納得することができるので、気が楽になるのではないでしょうか。
 鉄欠乏姓貧血の症状は起立性調節障害に似ていて、小学校高学年から中学生にかけて、とくに女の子によくみられます。血液検査をして鉄欠乏性貧血と診断された場合、鉄剤を投与すれば3カ月くらいで改善しますが、朝だるくて起きられないだけでなく、学業に集中できなかったりスポーツが思うようにできなかったりすることがありますので、こちらも早期発見が必要です。
 お子さんが朝起きられないようなら、まず「かぜかもしれない」と疑ってみてください。朝はお母さんも忙しいでしょうが、熱をはかったり「具合が悪いの?」と聞いてみたりしてほしいと思います。

早起きをさせ、睡眠のリズムを整えて朝ごはんをきちんと食べさせましょう
 では、病気が原因ではない場合はどうしたらよいでしょう。
 まず、少し大変かもしれませんが、いつもより30〜40分くらい強制的に早く起こすようにしてください。必然的に翌日、翌々日には睡眠時間が短くなってきますので、そのようになったときに早く寝かせるようにして睡眠のリズムを整えれば、朝も目覚めがすっきりするはずです。なかなか寝付けないときは、足くびから下を温めてみてください。湯たんぽの代わりにペットボトルにお湯を入れてタオルで巻いて足元に入れてあげるのも、アイデアとして良いのではないでしょうか。
 また、生活のエネルギーとなる食事をきちんととらせることが大切です。エネルギー配分がうまくできれば、朝もちゃんと起きられるようになりますし、早くすっきりと起きれば朝食をしっかり食べるようにもなります。もちろん夜更かしも原因になりますので、大人がメールやゲームなどを管理することも必要でしょう。
 なかなか起きられないお子さんを前に、病気が原因かそうでないか判断に迷うところですが、「ちょっとおかしいな」と思ったら、とにかく専門医のいる小児科で診てもらいましょう。起きられない状態が続くことが不登校やひきこもりの要因になることもありますので、早めの受診をおすすめします。


■お子さんが朝起きられないのは「病気が原因かも」と疑うことが必要。
■起立性調節障害、鉄欠乏性貧血、かぜの場合、治療すれば改善する。
■まったく病気がなくて朝起きられない場合は、睡眠のリズムを改善し、
食事を3食きちんととる習慣をつけよう。
■朝起きられないことが原因で不登校になることも多いので、対策を急ごう。



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