第39回
布おむつか紙おむつかは親の判断で。おしっこをしたときの気持ちよさを経験させながらトイレットトレーニングをしましょう
荏原 順子(えばら じゅんこ)先生
新潟青陵大学看護福祉心理学部福祉心理学科、准教授。

布おむつか紙おむつかは、使ってみてお母さん自身が考えて選びましょう
 近年、紙おむつを使用することは普通になっていますが、エコの考え方から布おむつ復活の声も聞かれる中、自分のお子さんにどちらを使うか悩むお母さんも多いようですね。「紙おむつにするとおしっこの自立が遅くなる」なんて言われたこともありましたが、そういう事実はありません。たしかに統計上、昔に比べて自立が遅くなっているということはありますが、これはお母さんたちが育児についての知識を得る中で、ゆとりのある子育てをするようになった表れであり、とても良いことだと思います。ただ気になるのは、育児書やインターネットなどからいろいろな情報を得ることができて知識が豊富な反面、経験から学ぶことが少ないためだと言えます。基本はわかっているけど、人間は1人1人体つきも違うし発達も個人差がありますので、応用するというには経験が少ないため、難しいのですね。
 布おむつにするか紙おむつにするかは、お母さんにとってどちらが使いやすいかを自分で判断しても良いですし、お子さんのなかには布おむつの洗濯液が少しでも残っていたり、紙おむつの肌にあたる所に塗ってある薬剤にかぶれる子もいます。一人一人が違うので、使ってみないとわかりません。情報にまどわされず、他のお子さんの場合の情報を得ることで経験をし、自分で考えて決めてほしいと思います。使っているおむつが布でも紙でも、濡れたら取り替えてあげて、その気持ちよさを味あわせてあげること。そして、その時にお母さんから発信する「よかったね。おしっこ出たね」「うんちだったね」などのやさしい声掛けが大事です。そのようにして繰り返し行われるおむつ交換は、お母さんと赤ちゃんの大切なコミュニケーションのチャンスであり、親子関係の絆として織り込まれていきます。

おしっこをしたときの快感を経験させるのがトイレットトレーニングのポイント
 では、トイレットトレーニングをどのようにしたらよいでしょう?
 おしっこが出るときのしくみを簡単にお話すると、膀胱の中におしっこが一定量たまって膀胱壁の受容体に圧力を感じ、骨盤神経・脊髄神経を通って脳まで行って大脳皮質で意識し、尿意を感じます。そこで大人ならトイレに行くのですが、赤ちゃんの神経は未発達で膀胱壁の受容体が圧力を感じても脳までは行かず、反射的におしっこをします。神経を通って大脳皮質まで行き尿意を感じるようになるのは、ハイハイをしたり立ち上がったり、歩くようになったころです。
 よちよち歩きのころになると膀胱も発達してきて50・くらいがたまるようになり、おしっこが出る間隔もあいてきます。そこで、「朝におしっこをしてから、しばらくしていないな」と思ったらトイレに連れて行き、していなければトイレに座らせましょう。大切なのは、おむつ交換のときと同じで、おしっこをしたときのすっきりする感じとか快感を経験させることです。そして、それをお母さんもいっしょに喜んであげること「チイでたね」等の声掛けは大切です。そうしていると自分でも出たら知らせる。出そうになったら知らせる行為も出てきます。知らせるようになったことも一緒に喜んであげましょう。
 育児書などに書かれていることは、たくさんの情報をまとめた一部分です。ですから、育児書に頼るだけではなく、育児書と現実をむすんでくれる経験豊富な人(ご両親等)や場所(たとえば保育園等)にいつでも相談し、自分が判断できるためのアドバイスをもらうことも必要だと思います。


■赤ちゃんは一人一人が違うことを忘れないで。
■おむつを布にするか紙にするかは、使ってみて、お母さんが自分で考えて選ぼう。
■オムツ交換はお母さんと赤ちゃんの大切なコミュニケーションのチャンス。
■おむつ交換もトイレットトレーニングも、すっきりする快感の積み重ねが大事。



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