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第32回
赤ちゃんだからといって不安がることはありません。出生前や生まれてすぐに発見された病気は、手術をして治してあげましょう。
山際岩雄(やまぎわいわお)先生
新潟青陵大学看護福祉心理学部看護学科教授。医学博士。
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出生率が減っているなかで外科手術は増加し死亡率は減少 |
赤ちゃんは大人と違って小さく、病気が発見されたとき「生まれたばかりの赤ちゃんにメスを入れるなんて…」と、お父さんお母さんはとても不安に思うでしょう。でもお母さんのお腹にいる間に見つかったり、生まれたときに診断された病気は、すぐに手術をすれば、他のお子さんと変わりなく生活ができるようになるものがほとんどです。
全国で年間約110万人の赤ちゃんが生まれていて、手術による治療が必要な赤ちゃんは4〜5千人います。呼吸器(気管・肺など)、消化器(食道から肛門までの消化管・肝臓・すい臓など)その他いろいろですが、具体的には患者さんの多い順に直腸肛門奇形(鎖肛−さこう)、腸閉塞(ちょうへいそく)、先天性横隔膜ヘルニア、ヒルシュスプリング病、先天性食道閉鎖症などがあります。50年ほど前は、その半数近くが助からなかったのですが、現在は全体の10%まで死亡率が下がっています。もちろん乳児期以後の赤ちゃんの手術死亡は、ほとんど0%です。難しいと言われていた食道閉鎖症なども手術をすれば助けることができるようになりましたし、1500グラム以下の極小(ごくしょう)未熟児の手術も1000グラム以上あれば普通に行われるようになりました。
日本小児外科学会では、5年ごとに全国の赤ちゃんの手術についてアンケート調査を行っています(※)。それによると1973年を境に出生率が減少しているにもかかわらず、赤ちゃんの外科手術数は増えて手術を受けた赤ちゃんの死亡率は減少しています。これは、昔は見つからなくて手術ができなかった病気もあることと、小児外科治療の技術が進歩し普及してきたことの表れではないでしょうか。
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進歩している小児外科手術 安心して赤ちゃんに手術を |
さきほどもお話したように、手術が必要な赤ちゃんの病気は、お母さんのお腹にいる間に産婦人科のエコーで発見されることがあります。横隔膜ヘルニアや腹壁破裂などは帝王切開による出産後すぐに手術が必要ですが、それ以外は普通分娩で出産してからで間に合います。ただ、出産後に救急車で搬送されるよりも治療ができるところで生まれたほうが安心なので、新生児外科手術のできる病院を紹介してもらいましょう。新潟県で新生児外科のある施設は、新潟大学附属病院、新潟市民病院、長岡赤十字病院、県立中央病院(上越市)の4か所です。
いろいろな病気の話をすると、子どもが健康で生まれてほしいと願っているお母さんの不安をあおってしまうかもしれません。ただ、きちんと定期健診を受けて早く発見し手術すれば、今は死亡率も減っているということを覚えていてほしいのです。手術も赤ちゃんだから怖いということはなく、自分の経験から言えますが、むしろ赤ちゃんは強いと思いますね。そして現在、ほとんどの病気の原因はわかっていません。それにもかかわらず、周囲から母親が攻められることが多く、小児疾患のある子どもをもつご両親の離婚率は高いのが現状です。そんなお母さんたちを支えることは大切だし、偏見をなくしていかなくてはならないと思っています。
※日本小児外科学会のホームページは一般の方も見ることができます。http://www.jsps.gr.jp/
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■手術が必要な赤ちゃんの病気は、出生前に発 見されるものも多い。
■統計上、赤ちゃんの手術数は増加し死亡率は 下がっている。
■病気が発見されても、赤ちゃんだからといって怖がることはない。
■小児外科施設で準備をととのえ、新生児手術をうけさせよう。
■赤ちゃんの病気の原因は不明。お母さんに原因はない。
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