第27回
おじいちゃん、おばあちゃんの育児力を生かして子どもを、のびのびと健やかに育てよう
柄澤 清美(からさわ きよみ)先生
新潟青陵大学看護福祉心理学部 看護学科老年看護学 准教授。

親とは違う価値観や、情愛の深さが子どもには大切
 子どもは奔放で自由なようですが、一方で「ああしなさい、こうしなさい」と日常的に押さえつけられています。そんな子どもにとって「はいはい」と言いなりになって聞いてくれたり、何をやっても大切でかわいいと言ってくれるおじいちゃん、おばあちゃんの存在は、情緒を安定させてくれるありがたいものだと思います。
 大学生ぐらいになると「祖父母はお小遣いをくれるから、ちょうどいいお財布代わり」なんて思っている場合もあるようですが、学生に祖父母の家族としての役割について聞いてみると、「自分が落ち込んでいるときは、いつも祖母の部屋にいた」記憶や、「親とは違った見方で接してくれた」ことへの感謝など、さまざまな答えが返ってきました。たとえばバタバタと階段の上り下りしたときに、母親には「夜なのにうるさい!」と叱られたけれど、おばあちゃんは「私は階段の上り下りする音を聞くと、元気でいいなとあったかい気持ちになるんだよ」と言ってくれたのだそうです。ものごとにはいろいろな見方があることを、そんなやりとりから感じたようでした。
 私自身、自分の子育てをふり返ってみて感じるのですが、子どもが小さいころは、親自身がまだ大人として成熟していないのだと思います。未熟がゆえに正しいと思ったことを信じたいし、突き進み、「子どもには正しいものを」と押さえつけてしまう傾向があります。子どもがのびのびと育つには、そういう親のきまじめさと、祖父母の情愛の深さの両方を受けることが大切ではないでしょうか。お年寄りにはほっとする雰囲気がありますし、子どもに必要なバランスを培ってくれる、そんな力を持っていると思います。

おじいちゃん、おばあちゃんとの関係を上手に築くことも、重要な子育て
 正直なところ、親世代にとって祖父母世代はわずらわしいかもしれません。保育園への送り迎えなどの労働力としては期待するけれど、実際にはあまり口出ししてほしくない、自分の方針と違うことを子どもにされるのは嫌だというのが、その理由でしょう。しかし親と子どもだけの生活では、いろいろな価値観が子どもに伝わりませんし、お年寄りの目を気にしないので、親の暮らし方に子どもが付き合わされることになりがちです。さらに、古きよき時代の子育てや文化の伝承が行われなくなってしまうのは、寂しいことだと思います。
 お年寄りは、たくさんの宝物を持っています。健康問題や科学的なことに関しては最新の情報を持っている親世代の意見を聞いてもらい、育児に関しての知恵は、経験豊かなおじいちゃんおばあちゃんに聞いてみる…。葛藤も含めて、そんな祖父母世代とのやりくりのプロセスで、お母さんたちは子どもの育て方について考え、自分なりの子育てのやり方を見つけることができるのではないでしょうか。このように、おじいちゃん、おばあちゃんとの人間関係を上手に築き子育ての環境を整えていくことも、間接的ですが重要な子育てだと思います。


■おじいちゃん、おばあちゃんの存在が子どもの情緒を安定させてくれる。
■親世代のきまじめさと、祖父母世代の情愛の深さが子育てには大切。
■親だけでない、いろいろな価値観で子どもをのびのびと育てよう。
■祖父母世代と良い関係を築いて、子どもを取り巻く環境を整えよう。



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