第17回

谷口忠義(たにぐちただよし)先生
新潟青陵大学短期大学部人間総合学科講師。

育児のサポートをお願いしたい。でも、おばあちゃんは介護でも大忙し
 小さいお子さんの子育て中、あなたの頼りになるのは誰ですか? 自分や夫の母親、つまり子どもにとってのおばあちゃん!という声が聞こえてきそうですが、いろいろな統計を見ても、その通り、おばあちゃんの子育てにおける役割は重要という結果が出ています。日常的というより緊急時に頼るということのようですが、結婚している30代の女性の7割近くが出産から子育てで母親の世話になっているようです(※1)。新潟県の2003年の調査(※2)では、第一子は保護者本人が子育てをしていることが多く、両親に頼るのは緊急時のようですが、第2子、第3子になると働くお母さんが増えてくるのか、主な子育てを両親に頼るという結果もあります。
 さて、ここで注目したいのが、近い将来おじいちゃんおばあちゃんになるであろう団塊の世代についてです。寿命が延びていますので、団塊の世代が孫を持つ年代になっても、その親が生きていることは珍しくありません。そして彼らが元気なら問題はありませんが、病気になった場合や、高齢になれば何かしらの介護が必要になってくる。あえて付け加えると、親だけではなく配偶者を介護する可能性も考えられます。そんなおばあちゃんに、孫の世話を頼めるでしょうか?

※1 全国家庭動向調査/2000年
※2少子化対策に関する県民意識・ニーズ/2003年新潟県


おばあちゃんに頼れなくなる育児、個人で頑張るしかない?それとも…
 親子の年齢を統計から見てみると、おばあちゃんを取り巻く状況がよくわかってきます。たとえば第一子を出産する女性の年齢の平均が28.9歳、男性は30.9歳というデータ(2004年)があります。世代ごとに出産年齢は上がっていて、この夫婦が長男・長女の場合、第一子を持つときの母親の年齢を当時の出産平均年齢から割り出してみると56歳ぐらい、さらにその母親が80歳ぐらいとなります。これが次男・次女の場合は親の年齢はさらに上がりますし、今後も出産年齢が上がってくると、子育てと親の介護が同時という可能性も多くなってくるでしょう。
 おばあちゃんに子育てを頼れなくなったらどうするか?内閣府の調査では若い世代のお母さんほど施設に期待する声が多いようですが、同年代のお父さんはあまり施設への期待を持っていない。子育てをしている女性の現実を本当に理解しているかどうか、施設や子育て支援の政策をつくっているのが男性中心ということを考えると、少し心配なデータです。また、子育てを個人の問題としてしまえば個人が頑張らなくちゃ!ということになりますが、人口構造の変化や社会のシステム、介護の状況などを見ると、個人の問題とは言い切れないようです。地域社会、制度、施設、子育てそれぞれ単体の問題ではないということを、もっと社会全体で考える必要があるのではないでしょうか。


■統計から育児の状況と問題点が見えてくる。
■一番頼りになるはずのおばあちゃんは、介護などで大忙しに。
■育児に関して男女のとらえ方にギャップも。
■子育て単体の問題ではないことを、みんなで考えよう。



 バックナンバー













取材こぼれ話

ご意見等お寄せください。

戻る