第13回

渡辺優子(わたなべ ゆうこ)先生
新潟青陵大学福祉心理学科助教授。

子どもと一緒に揺れ動いても信じる心は失わないで
 いまは一生涯を安心して生きられるかどうかわからない、安定した将来がなかなか見えてこない時代です。そんな中で、子ども一人ひとりが、思いやりを持ちながらも自分の道を行くという強さを持つことが求められています。そのためには、小さいころに愛されて育つことが大事とよく言われますが、親にも仕事がありますし、いつも子どもをかわいがって育てることは難しいものです。それに、同じように愛情を注いでも、親をすごく求めてくる子どももいれば、あっさりしている子どももいます。親と子の関係も、いろいろなのです。
 そこで大切なのは、お母さんをはじめ子どもを見守る人の気持ちが安定していることです。いろいろな情報に振り回されて、気持ちが揺れ動くこともあるでしょう。それは当然ですし悪いことではありませんが、どんなに右往左往しても、心の中の芯となる部分は安定していてほしい。それは、お子さんの育ちを信じて、個性を見つめながら、それが花開いていくのをじっくりと見てあげることです。お子さんが伸びていく方向を応援してあげることだと思います。

子育てには、見方を少し変えてみることも必要
 最近はニートやフリーターが問題になっていますが、お子さんが就職しないでいても、もしかしたら、この時代にしかできないことに挑戦しているのかもしれません。収入はあまりなくても、ボランティアなどで輝いているかもしれません。このように、見方をちょっと変えてみることで、子育てが楽になることがあります。たとえば、子どもは親を選んで生まれてくると考えてみるとどうでしょう。そう思えれば、強い信頼感をもって見てあげることができるかもしれません。うるさく泣いていても、「うるさい、嫌だ」と思うのではなく、「私を求めてこれだけ泣いているのかもしれない」と思ってみると、多少我慢したり、上手に言葉がけをしてあげられるのではないでしょうか。
 子育てをしていると、子どもを愛しているがゆえにほかの子どもと比べてしまい、うちの子は遅れているのではないか、違っているのではないかと悩んでしまうこともあります。でも、親は子どもの将来のためにすべてのレールを敷いてあげることはできませんし、新しい時代は新しいその時代の子どもでなければ担えないのです。親としてできることは、子どもが自分の将来に向かって自分なりに伸びていこうとする芽を育てることではないでしょうか。親も一人ひとり違っていていい。自由でいい。子どもと一緒に揺れ動きつつも、そのうちに自分なりの生き方ができるのだという基本的な信頼をもって、見守っていきましょう。


■いろいろな情報に揺れ動いても、子どもを信じるという芯の部分が
 安定していることが大切。
■子育てに悩んだとき、ちょっと見方を変えてみよう。
■新しい時代は新しい子どもたちのもの。親のものさしで計れない
 こともある。
■子どもが自分なりに伸びようとする力を信じよう。



 バックナンバー













取材こぼれ話

ご意見等お寄せください。

戻る