第10回

宮崎隆穂(みやざきたかお)先生
新潟青陵大学短期大学部幼児教育学科講師。

正常な発育のためにも幼児期の就寝時間は午後10時前に
 日本小児保健協会の調査によると、夜10時以降に寝るという幼児の割合が、1980年当時の20〜25%から2000年では50%以上に増えています。調査対象が同じような環境の子どもかどうかはあいまいですが、一般的な傾向として子どもたちが夜更かしをする割合は増えているようです。乳児期は生活のリズムがつくられ睡眠のリズムもできあがる時期ですし、急激に体が大きくなる大切な時期でもあります。成長ホルモンが夜9時から12時ぐらいに多く分泌すると言われていることからも、就寝時間を早くすることは、正常な発育のためにとても重要なのです。また、子どもがイライラしやすい、キレやすいという話を最近よく耳にしますが、これも睡眠リズムの乱れや睡眠不足の影響があるのではないかという見方があります。1日中疲れきった状態で集中力が続かないといった慢性疲労症候群から、さらには不登校などの問題につながることも可能性として考えられるようです。 幼稚園や小学校へ通い始めると起床時間はほぼ同じになりますから、就寝時間が遅ければ睡眠時間が足りなくなるのは当然です。帰宅時間が遅く、親子でふれあう時間が夜遅くになるというご家庭もあるでしょうが、お子さんとふれあうのは朝に移して、早く寝かせてあげてください。

眠るときは暗く目覚めるときは明るくして快適に
 これは大人にも言えることですが、質の良い睡眠をとるには、眠っている間は静かに暗くするのが良いようです。私たちの体内には睡眠誘導作用をもつメラトニンというホルモンがありますが、その分泌量は目から入ってくる光の量と関連し、明るいと分泌量を抑制してしまうからです。反対にすっきりと目覚めるには、起きたら日光に当たることが有効です。天気の悪いときは部屋の中を明るくしてあげてください。お子さんがぐずぐずしてなかなか起きないようなときも、大きな声を出すよりも効果的だと思います。このように光を感じることが人間にとって大切なことは、いろいろな研究から分かってきています。最近はうつ病などの治療にも使われますが、これは、うつ病が部分的には睡眠リズム障害という面も持っているからです。睡眠のリズムは人間の生活の中で、いろいろな面に影響を与えているのです。
 睡眠時間について尋ねられることが多いのですが、大切なことは時間にこだわるより、お子さんにあった一定のリズムで睡眠を取れるようにすることだと思います。そのためには、まず起きる時間を決めて、なるべく同じ時間に起きるようにすること。そうすればお子さんにあった時間に自然に眠くなるでしょう。夏休み中も、起きる時間をいつものリズムで一定にすることが大切ではないでしょうか。。


■幼児期は、正常な発育のためにも成長ホルモンが分泌される
 夜10時前には就寝を。
■暗く静かにして、ぐっすりとよく眠れる環境をつくってあげ
 よう。
■目覚めたら日光をたっぷりと浴びる。
■一定の時間に起きて睡眠のリズムを保つことが大切。



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