
秋の深まりとともに恋しくなるのが、
身も心も温めてくれる料理。
じっくり時間をかけてこしらえた料理だから、
ゆっくり味わっていただきたいもの。
立ち上る湯気の向こうの家族の笑顔も、
いつもより優しく見えてくる。
今回は「あったかレシピ」と題し、
新潟市内の各飲食店の自慢料理から、
家庭向けにアレンジしたメニューを紹介しよう。

1年中食べたいものを口にできるようになった現代でも、この時期しか味わえないものは「新米」。
今年の出来はあまり芳しくなかったようだが、新米のおいしさは格別だ。
「本当はそのまま食べるのが一番だけどね」とおっしゃる「まつい」の渡部元さんに、炊き込みご飯と混ぜご飯を作っていただいた。
渡部さんの繰り出すプロの技をご覧あれ。
旬の滋味を楽しみたいなら、 やっぱり和食にかえってくる。
新潟市上大川前通に店を構える和食の店「まつい」は、昭和48年のオープン。親子2代で来る常連さんも多い。磨きこまれたカウンターには自慢の大皿料理が並ぶ。その数は常時10〜13皿。あれこれ迷っても大丈夫、どれも地元で採れた旬の素材を調理した美味ばかりだ。女性1人でも気軽にのれんをくぐれる数少ない店でもある。
店を切り盛りする渡部元枝さんは上川村の出身。「できれば地元で採れたものを使いたい」と、定番料理は地物の山菜料理が多いとか。この日の食材もサトイモは五泉の帛乙女(きぬおとめ)、ギンナンとキノコは村松町産だ。
プロのこだわりは米にも厳しい。魚沼産コシヒカリを使い、しっかりといで新米なら15分、古米なら30分ほど水に浸し、ざるにあげて水を切るのがポイント。米の乾燥の具合や粒の大きさを見ながら水加減をする。使っているのは普通の電気釜だが、釜の目盛りではなく手で水の量を調整するという、まさに手加減。「今の電気釜はといですぐに炊けるらしいけど、時間があるときはといで水に浸してからざるにあげておくと、ふっくらと炊き上がります」
ほかにも、サトイモのぬめりをしっかり取ってから炊くことやギンナンの薄皮のむき方など、ほんのちょっとした事が味を左右することを教えてもらった。ご飯に青みを添えたいときは「家庭ではミツバじゃなくていいの。ダイコンの葉っぱでもコマツナでも、家庭にある野菜を添えるだけで見た目もきれいだし、食欲も増すでしょ」とのこと。
甘酢であえることの多いカキノモトは「飲ん兵衛は甘酢よりこっちのほうが」と、ピリッと辛いマヨネーズであえれば、酒のつまみに変身。ほかにも、料理によってだしを使い分けたり、油はコレステロールの入らないゴマ油やオリーブオイルを使うなど、随所にこだわりがうかがえた。
|
取材協力/和食 まつい
新潟市上大川前通6番町1212-2
TEL.025(229)5693
|

1.サトイモとギンナンの炊き込みご飯
材料:米1合につきサトイモ1個・ギンナン5個(好みで加減する)、白米をたく量の昆布ダシ、酒・塩・薄口しょうゆ・イクラのしょうゆ漬け適宜
作り方:1.サトイモは皮をむき、一口大に切り、水が濁らなくなるまでよく洗う。柔らかいものなら大きめに切る。 2.ギンナンは殻を割り、ゆでた湯の中で穴あきおたまで押さえ、回しながら薄皮をむく。 3.米をといで新米なら15分、古米なら30分水につけてからザルに上げる。 4.昆布ダシで水加減をし、サトイモを入れて炊き上げる。 5.仕上げにギンナンと、好みでイクラを散らす。
2.キノコ汁
カツオダシをとり、スギタケ、豆腐、油揚げを入れてみそを溶く。
3.ハタハタの田楽
材料:ハタハタ、A〈みそ大さじ6、砂糖大さじ5、酒小さじ2、みりん小さじ2、ダシ大さじ2〉、卵黄1個分、ユズ・すりゴマ・クルミなど好みで適宜
作り方:1.鍋にAを入れて混ぜ、卵黄を加えて弱火にかけ、とろりとするまで練る。好みですりおろしたユズ、すりゴマ、クルミなどを加えて田楽みそを作る。味付けはみその甘さ、辛さで調節を。 2.ハタハタは塩をしないで焼く。皿に出すとき裏になる方を焼き、ひっくり返して表を少し焼いてから、田楽みそをぬって表面が乾いたら火を止める。 ※マダラやサケでもおいしい。
4.カキノモトとおけさ柿のワサビマヨネーズあえ
材料:カキノモト(食用菊)・おけさ柿・ダシ汁・ワサビ・マヨネーズ・すりゴマすべて適宜
作り方:1.鍋にたっぷりの湯を沸かしてカキノモトを入れ、もう一度沸騰したらハシでひっくり返しザルにあける。 2. においのいやな人は冷水で、そのまま食べたいときはうちわであおぐなどして一気に冷ます。 3. おけさ柿は大きめに切る。 4.ダシ汁にワサビとマヨネーズ、すりゴマを入れて混ぜ、カキノモトとおけさ柿をあえる。
5.ズワイガニの炊き込みご飯
材料:米、ズワイガニ適宜、米を普通にたく分量のカツオブシ二番ダシ、薄口しょうゆ・塩・酒適宜、ミツバなどの青菜適宜
作り方:1.米は「サトイモとギンナンの炊き込みご飯」の要領で仕立て、薄く採ったカツオブシの二番ダシで水加減をする。薄口しょうゆ、塩、酒で味をつける。 2.生ズワイガニの身を殻から外し、米と一緒に炊き上げる。青みを添えていただく。 ※生のカニがなければ市販のむき身、カニ缶でもいい。
6.旬のキノコの混ぜご飯
材料:キノコ数種類を好みの量、ゴマ油・酒・みりん・しょうゆ適宜、ご飯
作り方:1.いろいろなキノコを食べやすい大きさに切り、ゴマ油を熱した鍋に入れ弱火でいため、酒、みりん、しょうゆで味付けする。この日はシメジ、マイタケ、エノキ、ナメコ、スギタケを使用。 2.米は普通に炊く。炊きあがったご飯に1を汁ごと入れてふっくらと混ぜる。 ※キノコは何種類入れてもいい。できるだけ山のものを使うこと。栽培ものより香りが高く、味も濃い。
|