タイトル いよいよ春本番。
下町で路地に迷い込み、
古町でショッピングやお茶を楽しみ、
けやき通りでとびきりおいしい
ランチをとる・・・
新潟の街には、
まだまだ魅力的な
スポットがいっぱいだ。

懐かしさの魔法
 下町(シモ)を初めて訪れた人は大抵こんな言葉を発する。
「どこか懐かしい町並みだね」
 いわゆる下町(シタマチ)育ちではない私でさえそんな感想を抱くが、ここでの「懐かしい」には思い返すべき実体験があるわけではない。だとしたら、その「懐かしい」という感情は、いったいどこからやってくるのだろう。
 私にとって、下町(シモ)の白眉(はくび)といえば、やはり上大川前通り、本町通り、東堀などの各通りに交差する形で存在する路地だ。それぞれ各通りに抜けられるようになってはいるものの、車1台がやっと通れるような狭い路地がほとんどで、車の入れぬ路地もある。
 「懐かしい」というキーワードを頭に入れ、路地に立ってみる。路地に面した家々は塀や垣根のないしもたや風の家が多い。手を伸ばせば届きそうな距離に家々は立っている。そんな目と鼻の先から見上げれば、普通の2階建ての家でさえ、そびえ立つ城のように高く感じられる。路地を歩いてみる。道幅の狭さゆえ、歩いているのに目の前の景色は飛ぶように後ろへ後ろへと消え去る。あぁ、私にとっての懐かしさの源泉はこれなのだとその時わかった。
 普段、私は人様の家の前で用もなく立ち止まったりしないし、ましてやしげしげと見上げたりはしない。分別のある大人は、そんなことはしないものだ。でも、子どものころはそんなことはお構いなしだった。人様の家の前で友達とたむろするのは当たり前で、へたすりゃ平気で人様の家の庭でかくれんぼをしたりした。今考えればずいぶんとご活発な子ども時代を送ったものだし、大人もよく許したと思う。1960年代はまだ、東京の町ですら風通しのいい時代だったのかもしれない。
 狭い路地から見上げる家々のたたずまいは、チビだった私が見上げていた家々の姿と重なる。走り去るかのような路地の景色は、まさに日々走り回っていた子どもが目にしていた情景。今現在、路地で目にしているのは実体験とは無縁の景色なのに、あたかもそこで体験したかのような既視感を覚えさせる町並みの不思議。私に限らず、子どものころの幻影を忘れ去っていない人は、下町(シモ)を通るたびにその魔法にかかり、今日もどこかで「懐かしい」とつぶやいている。

写真 高台にあるお社から新潟の景色を眺めたい
>>住吉神社

 階段を上った小高い丘の上にある。かつては海や町の様子を一望することができ、船乗りたちは、この神社で安全な航海を祈っていたという。住吉神社は昭和初期まで続いていた港に入る船の水先案内をする仕事=水戸教を世襲していた伊藤家の邸内にあった住吉三神を1865年に移動し、祭ったもの。今では社務所もないが、1891年に奉納された水戸教の方角石もある。下町散策のゴール地点として、あるいはスタート地点にしてもいいかもしれない。
●新潟市東堀通13番町
写真 上品な味わいの大福は
新潟を代表する銘菓
>>さわ山

 新潟名物のひとつとなった『大ふくまんじゅう』1個95円を求めて、市外からもお客さんが連日訪れる。柔らかく薄いもち皮に、ほどよい甘さのしっとりしたあんこの組み合わせが至福の味わいの『大ふくまんじゅう』は、ごく素朴なもち菓子だが、素材をしっかり選んで丹念に作られた、ここでしか味わえない逸品だ。そのおいしさの秘密は「心をこめて作っているからかな?」と答えるご主人もまた、この店の名物。コシヒカリを粉にしたしんこもちを使った『笹もち』1個95円や『ごぼう団子』1個110円、また5月下旬から登場する『くずまんじゅう』1個105円など、どれも後を引く味だ。
●新潟市夕栄町4513 TEL.025(223)1023
●8:00〜18:00 火曜休
写真 下町の名物味わい深い手作りかまぼこ
>>竹徳かまぼこ

 創業71年を迎える老舗のかまぼこ店だが、工場の一角に売店を構えたのは4年前。それまでは古町の割烹や結婚式場にむけて作ってきた。あげ天(さつまあげ)は「手作りなので大量生産できないんです」と言う。自慢の板かまぼこ『越乃海』も、イトヨリダイを100%使用した『あげ天』も、やわらかな食感と魚のすり身のほどよい甘さが特徴。塩や県内産野菜にこだわり、旬の素材と工場直販の出来立てのおいしさがストレートに伝わる。「煮て食べる人が多いんですが、かまぼこはお刺し身で、あげ天はレンジ等で温めたアツアツを食べるのがおいしいんです」とのこと。ぜひお試しあれ。目の前で揚げたてを味わえる本町店もあり。Web販売も近日オープン。
http://members.ecatv.home.ne.jp/taketoku/
●新潟市東堀前通11-1775
 TEL.025(222)0223
●10:00〜18:00
 日曜・祝日・魚市場休場日休
写真
回転する願懸け高麗(こま)犬で知られる下町の神社
>>湊稲荷神社

 春にはお花見に訪れる人も多い湊稲荷神社は、航海の無事を祈願する神社として知られるとともに、花街と港のちょうど中間にあったため遊郭で働く女性たちから信仰も厚く、別名『道楽稲荷』とも呼ばれていた。市指定有形文化財に指定された回転する『願懸け高麗犬』は、全国でも例を見ない珍しい高麗犬。今でも高麗犬を回しながらさまざまな願懸けをする人が多く、回転軸は半年ごとに修理している。現在の高麗犬は平成7年に新調されたもの。
●新潟市稲荷町

写真 “古くて新しい”画廊は下町の新しい名所に
>>新潟絵屋

 町屋の店部分を利用して2000年に建てられた画廊は、懐かしさを感じさせるたたずまいにのんびりした空気感が下町の風景によくなじむ。展示内容は企画運営委員が決め、1カ月に3回の企画展を行うというスタイルなので、散歩がてら定期的にのぞいてみたい。画廊というと堅いイメージがあるが、ここでは気軽に作品を見に行くというスタンスでアートを楽しませてくれる。展示会に合わせて舞踊公演やライブなどもある。4月2日から10日までは『古山浩一 諷刺画(カリカチュア)の世界』、4月12日からは『上原木呂展』を開催。
●新潟市並木町2386 TEL.025(222)6888
●11:00〜18:00(会期最終日は17:00まで)
 毎月1日・11日・21日・31日休
写真 初期の擬洋風建築を堪能できる国指定重要文化財
>>新潟市歴史博物館
旧新潟税関庁舎

 明治2(1869)年に新潟運上所として建築された旧新潟税関庁舎。アーチ状の入り口と洋開きのよろい戸に、木造平屋建て、なまこ壁、瓦ぶきの屋根の中央に望楼、ランプのシャンデリアなど、初期の洋風建築の特徴を持つ。開港五港の税関のなかでは日本唯一のもので1969年には国の重要文化財にも指定されている。郷土資料館を取りこんだ形の新潟市歴史博物館は3月27日にオープン。昭和2年に建設された鉄筋コンクリート2階建ての旧第四銀行住吉町支店もここに復元されて、由緒ある歴史的建造物が勢ぞろいする。
●新潟市歴史博物館
 新潟市柳島町2-10 TEL.025(225)6111
 4月〜9月/9:30〜18:00、それ以外は〜17:00
 月曜・祝翌日・年末年始休
●旧新潟税関庁舎 新潟市緑町3437-8 TEL.025(225)6111
写真 スローフードを体験できるみそ蔵と新設お休みどころ
>>石山味噌醤油

 明治30年代の創業時に建てられ、現在もほぼ当時のまま稼働しているみそ蔵は、2000年に歴史的建造物として国の有形文化財に指定された。希望者は巨大な杉の大桶(おも)が並ぶ蔵の中を見学することも可能。見学会は毎週火曜日に行っているので、電話で申し込みを。また、こちらでは隣接する建物でお休みどころを建設中。4月下旬にオープンするその店には、竈(かまど)が設置され、玄米黒酢を散布して作った黒酢農法米コシヒカリのおにぎりと昔ながらの天然醸造味噌を使ったみそ汁や漬物など、食事やお茶を楽しめる。囲炉裏のあるお座敷スペースがとっても心地良さそう。厳選された食材を集めた売店もあるので、下町散策の折に立ち寄りたい。
●新潟市湊町通4之町 TEL.025(222)2581
 ※見学時間など詳細は電話で問い合わせを

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