Merry,Merry Christmas!
クリスマスリース クリスマスのABC

クリスマス(キリスト降誕祭)は、ヨーロッパ各地の土着宗教による冬至祭が、キリスト教の伝播(でんぱ)に従って統合された冬のお祭り。クリスマスになると、人々は魔よけのシンボルを飾って厄をはらい、1年間の無事を神に感謝して、家族や友人たちと贈りものを交換してきた。長く厳しい冬に閉ざされるヨーロッパで、クリスマスは、次の春までの生きる希望を養う大切な行事だった。だからこそ文化や宗教の違いを超えて日本にも伝わり、冬の楽しみのひとつとなったのだろう。クリスマスのあれこれをひもといてみると…。

取材・文/小杉康子 撮影/村井 勇


写真1 1. Christmas Color
緑と赤―再生と希望のシンボル

 クリスマス・カラーといえば、真っ先に思い浮かぶのが緑と赤。そのイメージの源には、「ヒイラギ」があるといわれている。一年を通して緑の葉を茂らせ、真冬に赤い実を結ぶヒイラギは、ヨーロッパでは古くから再生と希望のシンボルとして親しまれてきた。ヒイラギの葉がキリストの頭上にあるイバラの冠を、赤い実がキリストの額から滴る血を連想させるため、それがキリストの復活と人間への大いなる愛のイメージにつながっていったのだろう。また、目にも鮮やかな緑と赤は、来るべき春の新緑と暖かな太陽のイメージでもあったのかもしれない。
 もともとヒイラギには、病気を治す力や魔よけの力があると信じられていた。中世の人々はヒイラギで熱病を癒やし、やむをえず野宿をするときはヒイラギのやぶの下で眠って、災いから身を守った。クリスマスにヒイラギを飾るのは、こうした魔よけのシンボルを飾って厄をはらい、幸運を祈る意味がある。
写真1 2. Santa Claus
学生、船員の守護者が起源

 サンタクロースの起源は、学生や乙女、船員の守護者である聖ニコラウスだといわれている。裕福な家に生まれたニコラウスは、貧しい人々のために尽くし、多くの奇跡を行った。そのなかには子供を救う逸話も数多く含まれていたため、彼が没した12月6日(聖ニコラウスの祭日)が子どもの日と見なされるようになり、やがて祭日の前夜に子供たちにプレゼントを配る習慣が生まれたという。
 12月5日の夜、子供たちは窓辺に靴下を掛けておく。すると、聖ニコラウスが夜のうちにプレゼントを入れておいてくれるのだ。靴下を掛けるのは、かつて聖ニコラウスが、売られそうになった娘たちの靴下に財布を投げ入れて救ってやったことがあるからだろう。
 この幸せな習慣はやがて各国に広まり、そりに乗ってプレゼントを配る北欧の妖精ユール・トムテやイギリスのファーザー・クリスマスなど、その土地に伝わる冬の神々と結びついていった。16世紀の宗教改革で聖人が否定されてからは、プレゼントの習慣はクリスマス・イブに移っている。「赤い外套(がいとう)を着た白ひげのおじいさんが、そりに乗ってイブにプレゼントを配る」という現在のサンタクロースのイメージは、こうした変遷を経て生まれてきた。
写真1 3. Food
フランスでは鴨 北欧では豚や魚

 クリスマスの前身はヨーロッパ各地の冬至祭だが、大いに食べて飲む習慣はこのころから健在だった。今でも家族や友人の集うクリスマスの食卓には、たくさんのごちそうが並ぶ。英米では七面鳥、フランスでは鴨(かも)や腸詰め、北欧では豚や魚の料理が伝統的で、どれも冬に向かって脂が乗るため、みんなで食べるごちそうにはうってつけだったのだろう。ひき肉入りのパイは十二夜(降誕祭から1月6日の公現節までの12日間)まで一切れずつ食べると幸福を呼ぶと信じられ、この時期に訪れる客にも出されていたという。
 もちろん甘いお菓子も特別なごちそうで、フランスでは薪(まき)の形をしたブッシュ・ド・ノエルというケーキが愛されている。これはクリスマスの夜、暖炉に薪をくべ、その燃えさしをお守りにする習慣から生まれたケーキ。ドイツではおくるみ型のパン菓子シュトーレンやレープクーヘンと呼ばれるクッキー、イタリアではパネトーネという日持ちのするパン菓子がクリスマスを彩っている。
写真1 4. Language
いろんなメリークリスマス


Merry Christmas 
メリー・クリスマス/英

Frohliche Weinachten 
フレーリヘ・ヴァイナハテン/独

Joyeux Noel 
ジョワイユー・ノエル/仏

Buon Natale 
ボン・ナターレ/伊

Feliz Navidad 
フェリス・ナビダー/西

 英語のChristmasは「Christ's Mass」で「キリストのミサ」を意味している。ChristmasをXmasと書くのはその省略形で、ギリシャ語でキリストを表すクリストスの頭文字がXだったことに由来しているという。ドイツ語のWeinachtenは「聖なる夜」の意で、古くは冬至祭を指していた。フランス語のNoel、イタリア語のNatale、スペイン語のNavidadはすべてラテン語で「誕生」を意味するnatalisが語源だと言われている。

クリスマスを3倍楽しむ本&映画
「くるみ割り人形」 1993年・米
監督:エミール・アルドリーノ 出演:マコーレー・カルキンほか


●クリスマスにくるみ割り人形をもらった少女の一夜の冒険を描く、夢いっぱいのバレエ・ファンタジー。チャイコフスキーの美しい音楽に乗せて、カルキンふんする「王子さま」が雪の国やお菓子の国へ連れて行ってくれる。
写真1
©Touchstone Pictures
ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント
\2500+税
「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」
1993年・米 監督:ヘンリー・セレック
声の出演:ダニー・エルフマンほか


●幸せと喜びに満ちたクリスマスにあこがれるハロウィーンの王が、クリスマス乗っ取り大作戦を巻き起こす異色のパペット・ミュージカル。ガイコツ男のジャックやツギハギ人形のサリーなど、怖くてかわいいキャラクターが魅力的。
写真1 「クリスマスに少女は還る」
キャロル・オコンネル/務台夏子訳創元推理文庫 \1000

●クリスマス間近のある日、2人の少女が姿を消した。15年前のクリスマスに起こった少女殺害事件の悪夢がよみがえろうとするなか、追う者と追われる者が複雑に絡み合っていく。贖罪(しょくざい)と奇跡、極上のクリスマス・ミステリー。

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