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できるだけ多くの人が使える製品や環境のデザインを―
長谷川美香さん |
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ユニバーサルデザインの考え方を反映した 『スーパーハウジングフェアin新潟』 年齢、性別、国籍、個人の能力の違い等にかかわらず、可能な限り多くの人が利用できるようにデザインするという概念を「ユニバーサルデザイン」という。そもそも、この考え方はアメリカの建築家であり工業デザイナーであった故ロナルド・メイス氏によって提唱された。国際的に大きく取り上げられるようになったのは1990年代。今から5年前に第1回ユニバーサルデザイン国際会議がニューヨークで開かれている。 新潟県でも昨年度ユニバーサルデザイン研究会が立ち上げられ、学習会や講演会が開かれるなどしてユニバーサルデザインの考え方が少しずつ広がり始めている。そこには、ユニバーサルデザインの視点が、私たちを取り囲む製品や住まいやまち、そしてこれからの豊かな社会を築いていくキーワードになるであろうという基本的な考え方がある。 「住宅月間」とされる10月、全国でも中心的な「住宅月間中央イベント」が新潟で開かれることになった。10月2日(木)から4日間にわたって朱鷺メッセで開かれる『スーパーハウジングフェアin新潟』がそのタイトル。そして基本テーマに掲げられているのが「ユニバーサルデザインから始まる住まい・まちづくり」である。 「誰にでも分かりやすく、誰でも参加できる、ユニバーサルデザインの考え方を全体に反映させたイベントになると思う」と語るのは、ユニバーサルデザインに先進的に取り組み、企画から会場のデザイン、運営に大きくかかわっているスタッフの1人、ミカユニバーサルデザインオフィス社長・長谷川美香さんだ。では、具体的にどんなイベントになるのだろう? 長谷川さんに、今回のフェアの見どころについてお聞きした。 |
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「ユニバーサルデザインワールド」へようこそ 会場は大きく二つのコーナーから構成される。 その一つが、ユニバーサルデザインの考え方を、誰にでもできるだけ分かりやすく説明していくコーナー。ユニバーサルデザインについての物語が学生の手によるイラストで解説され、住宅関連商品や文具などに実際に触れたり体験したりすることで、理解を深めることによって、製品が作られるに至った作り手の思いやプロセスがじんわり伝わることに期待する。 「今は、もともと人が持っていた優しさとかあたたかさ、思いやりの気持ちをなかなか表現しにくくなっています。一人ひとりが持っている気持ちを、もっと素直に伝えてみよう、というのが一つのテーマ。人がどんな思いを込めて、プロセスを踏んで形にしたのか、一つひとつに思いをめぐらすことで、作り手側の思いと受け取る側の思いが交わる、その繰り返しができることが、社会や物事の仕組みを変えていけるキーワードの一つではないでしょうか」 |
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懐かしい昭和30年代の住まいに ユニバーサルデザインの未来をさぐる 「ユニバーサルデザインワールド」からタイムトンネルをくぐると、そこには、昭和30年代のころに新潟のどこにでも見かけた懐かしい縁側のある木造住宅が私たちを迎えてくれる。縁側の家とユニバーサルデザイン……? そのつながりはどういうところにあるのだろう。 日本では、「衣・食」その次に「住」の順で価値があると考えられがちだが、海外ではもっと住宅に重きをおいて、くらしを大切にしているという。住まい・まちから、いかに人とのふれあいを大切にするか、心豊かに暮らすかなどの発想が生まれてくるという。 「しかし、ちょっと待てよ」と長谷川さんたちスタッフは考えた。日本のくらしも少し昔を振り返れば、昭和30年代、家に縁側があったころの住まいには、人とのつながりを重んじていたこともあったではないか。ユニバーサルデザインの原点の一つが『共に生きる』というコミュニティーの精神だとすれば、あのころのくらしに引き戻すことで、新しい価値に進めるのではないか、そんな発想が生まれたのだという。 「あのころにも言葉としてのユニバーサルデザインはなくても、同じような思いとか考え方があったのではないでしょうか。私たちが本来持っていた何かを、そこで探してほしいし、見つけてほしい」と長谷川さん。 「この八畳二間の縁側の家には、ちゃんと人が住んでいるのです(実は劇団員です)。もしかすると、『寄っていきなせーや』なんて声をかけられるかもしれないし、訪れた人がお弁当を広げるかもしれない……」 そんなアクシデントも大歓迎と、楽しそうに笑った。 |
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自らが高齢者に「変装」し、自分や人の 変化を体験したパトリシア・ムーアさん登場! 『スーパーハウジングフェアin新潟』のもう一つの見どころが4、5日の2日間に行われる「ユニバーサルデザイン住宅シンポジウム」だ。 国内外の講師によるスーパーセッション、市民参加によるワークショップでユニバーサルデザインについての考えを深め、パネルディスカッションで総括し、今後のユニバーサルデザイン住宅についての提言をするという。そして楽しみなのが、ユニバーサルデザインの最前線で活躍している講師の面々。 長谷川さんは昨年の第6回世界高齢者協会世界会議で初めて話をする機会を得たパトシリア・ムーアさんを招くことができたことを、心から喜んでいる。高齢者のライフスタイルに興味を持ち、20代で3年間、高齢女性に変装してアメリカ・カナダを旅した経験をもとにして書かれた著作『変装』は、アメリカの老人問題への取り組みに多大な影響を与えたという。「パトリシアさんのたくさんの経験、知恵を分けていただいて、新潟の文化と融合してどんなことが私たちにできるのか、考えるきっかけになると思います」 このフェアの楽しさは、見るだけでなくさまざまな場面で参加できること。その企画の一つが「みんなで育てる気持ちの木」。来場者が展示を見ての思いを葉っぱの形の紙に書くと、それが壁の木にどんどん張られ、木がどんどん成長していくという。さて、4日間の間にどんなメッセージが寄せられどんな木に育つのか、とても楽しみである。 |
![]() 昨年の国際会議でパトリシアさんと撮影した記念写真。パトリシアさんの右横が長谷川さん |
![]() 「パトリシアさんの著書『変装』は現在絶版ですが、図書館になら置いてあります」と長谷川さん。復刻が待ち遠しい |
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パトリシア・ムーアさんは20代で3年間高齢女性に変装して暮らし、旅をし、何を感じたのか 長谷川さん自身、けがをしていろいろな苦労をしたことから、パトリシアさんの体験にとても共感をおぼえたという。「高齢女性になりきり暮らし、旅したことで、どんな経験をし、その結果見えてきた彼女のユニバーサルデザインという考え方への思いはどんなことか、ぜひ新潟の人に知ってほしい。彼女のプレゼンテーションはとても魅力的で引き込まれますよ」と長谷川さん。絶版になっていた『変装』は、昨年の国際会議でパトリシアさんと身近に話した日本人たちの提案がきっかけとなり、パトリシアさんが復刻の作業を進めているところだ。 |
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