長い間、愛着を持って大事に使いたい、使っていきたい“本物”と、
実際に大切に使っている人をご紹介します。

ずっと大切にしたいもの


Kimono着物

日本女性を一番美しく見せると言われる着物。たんすの中に眠らせておくだけでなく、もっと機会を作って着てみたいもの

着物
薄緑色に御所解模様が美しい京友禅訪問着。第一礼装(結婚式など式と名の付く場)・第二礼装(茶会など会と名の付く場)の両方を兼ねられる。帯は西陣織。オーソドックスな亀甲柄ではあるが鮮やかな色使いで現代風に仕上がっている


写真:加賀田さん
藤島さんから譲り受けた優雅な淡い水色の本加賀友禅。帯は京都西陣の人間国宝、北村武資さんの作品。「私が幼いころに母が着ていたのをとても鮮烈に覚えています。印象深い一枚です」と加賀田さん

取材協力/呉服の嶋屋
新潟市古町通7 TEL.025(228)5298
営9:30〜19:00 無休
母から子へ、孫へ。
思い出とともに次の代へと
伝えていくことのできる着物の魅力
 新潟市古町通7の(株)呉服の嶋屋で専務を務める加賀田尚子さん。同社は加賀田さんのご実家とあって幼少のころから着物には慣れ親しんできた。「お茶などの習い事を通じて着物を着る機会がたびたびありましたが、着付けの基本や専門知識を本格的に学んだのは20歳代半ばのこと。身近な母に習うのが一番だとは思ったのですが、どうしても甘えが出てしまいますので(笑)」。現在もお仕事の場、趣味のお茶の席やパーティー、お友だちとの会食など、さまざまなシチュエーションで和服を着こなしていらっしゃる。「着物を着ていると歩き方や身のこなしに気を配るようになるんです。洋服のときとは違って身が引き締まるような気持ちになりますし、何よりも自分が日本人だと実感できることが最大の魅力ですね」。そう話す加賀田さんは、“仕事柄”相当な量の和服をお持ちだ。その中でも3分の1は母で同社の社長・藤島京さんから譲り受けたものだという。

どんな年代になっても楽しめる
着物の奥深さ
 洋服と和服を比べた場合、和服の最も優れた点は仕立て直しが自由なことではないだろうか。洋服は身長や幅が大きくなってしまうと、もう着ることはできない。しかし着物の場合、小柄な方から背の高い方へ受け継ぐことが可能。加賀田さんも藤島さんより身長が高い。「着物は高価なものと思われがちですが、いい物を選べば母から子へ、孫へと長い年月お召しになることができます。最近では現代的なデザインや柄のものも多数ございますので、もっとたくさんの方に着物に親しんでいただけたらうれしいですね」
 また、和服の楽しみ方のひとつに小物選びが挙げられる。「帯はもちろんのこと、帯揚げや帯締め、草履やバッグなど、どれとどれを組み合わせようかと考えるだけでワクワクと楽しい気分になりますよ。実は私は、今でも母の意見を聞きながら決めているんです(笑)。季節や席によっての決め事もありますし、洋服の場合とは全く違う感性が必要なんですよ。和服ってとても奥が深いんです」
日本の紬の発祥の地といわれる沖縄・久米島の久米島紬。「こちらは嫁ぎ先の亡くなった義母から頂いた大切な着物です」。帯は沖縄本紅型染・名古屋帯

写真:加賀田さん2

写真:草履とバッグ1 手ごろなお値段の品も多いので、着物やTPOに合わせて選びたい。

草履とバッグのセットは右より兎柄¥48,000/海老茶・綾織¥68,000

右より金地¥69,000/銀地¥80,000/えんじ¥48,000すべてセット価格
写真:草履とバッグ2 帯
帯揚げは絞り染めの本場、名古屋の絞り工房の製作。帯締めは有職唐組の手組み紐。玉糸を操り組み上げられている

写真(川崎 艶さん、かよ子さん母娘)
「祖母の着物を自分が着るなんて、何だか不思議な気持ちです」と、かよ子さん(右)。和服を着ると前向きになれるそう。艶さんは「母はどんな気持ちでこの着物を作ったのだろう、どんな場で着ていたのだろうと、かつての母の面影を懐かしみながら袖を通しています」と語ってくれた

取材協力/
(財)民族衣裳文化普及協会
TEL.(0120)417792
三代続いて身に着けている思い出の着物

 母娘で着付け教室に通う中条町の川崎艶さん、かよ子さん。2年前に職場で開かれたゆかた講習会に参加したところ「本格的に着付けの勉強をしてみたくなって」と娘のかよ子さん。一方、「母が生前大切にしていた着物に自分の手で袖を通したい」と願っていた艶さんも、着付けの基本を学ぶため同時期に入学。現在は講師の免状も取得している。「ゆくゆくは多くの方に着物の魅力や楽しみ方を伝えられるような教室を開きたいですね」と語ってくれた。

取材・文/渡辺祐子 撮影/東浦一夫



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