長い間、愛着を持って大事に使いたい、使っていきたい“本物”と、
実際に大切に使っている人をご紹介します。

ずっと大切にしたいもの


Byoubu屏風

気に入った布や紙を、その空間にあったデザインの枠に張ってもらう――自由な発想で「自分だけの屏風」を手に入れてみては?

屏風
からかみ屋にある屏風のサンプル。店には屏風やふすまに張れるから紙や布がそろう。ショールームでは職人技が光る貴重な金銀砂子細工のふすまも見ることができる

素材 「どんな素材でも屏風にできますよ」との言葉通り、からかみ屋には壁紙のカタログまで用意されている。屏風といえば和紙や布と考えがちだが、少し視点を変えるだけで新しい屏風のカタチが見えてくる 取材協力/からかみ屋
新潟市東堀通5‐440
TEL.025(227)3400
営11:00〜17:30(土曜〜17:00)
日曜・祝日休

伝統や文化を守りながら、
現代の生活にも見事に融合
現在の一般家庭では、屏風(びょうぶ)を立てるという光景にはなかなかお目にかかれない。古くは広い座敷や客間、お茶室などで目隠しとして利用されていた屏風は、次第に実用的なものではなく時代の華美を表す優雅な装飾品となり、今や高価な美術品として扱われることがほとんどとなった。だが、新潟市東堀通5にある「からかみ屋」でお話をうかがうと、「最近は素材に麻や更紗(さらさ)などを使った洋間にも合うような斬新な屏風が数多く登場していますよ」とのこと。また「年代物の古典的な屏風でも、意外と現代風の空間にマッチするんです」。モダンでシックな洋間にはつややかな色彩画や躍動感のある書が映え、落ち着いた和室には季節感をもたらす風景画が自然に溶け込む。頭の中でイメージしてみると、屏風はさまざまなシチュエーションに違和感なく当てはめることができそうだ。

もてなしの心を大切に残したい
 新潟市紫竹6の(有)ゴトウ経装では、注文を受けた新規の屏風の制作を手掛けるほか、傷んでしまった屏風や掛け軸などの修理・復元も行っている。表具師の後藤光晴さんにお話をうかがった。「お気に入りの書画や布を生かしたいというご要望があれば、どのようなものでも屏風に仕立てられます。『思い入れのある帯や着物を使って創作して欲しい』というご依頼は多いですね。屏風を立てるというのは日本人のもてなしの心の表れ。大切に残していきたい文化です」 後藤さん宅の屏風
後藤さんのお宅にある屏風。骨とう市で買い求めたという。手前の行灯(あんどん)は後藤さんの手作り
後藤さん1  屏風の下地の骨組みは杉材。そこに、和紙を何重にも張り重ねて下張りし、さらに仕上げ紙や布を上張りする。表には見えない下張りの段階では、繰り返し和紙を張る工程以外にものりを乾かしたり狂いを調整したりと待ちの時間も長く要するため、すべての仕上がりには半年近くかかるのだという
後藤さん2  伝統の技術、紙蝶番(ちょうつがい)。屏風の表裏を容易にかえすことができる。「洋紙では強度が弱いため蝶番にはなりません。和紙だからこそできる技術です。高温多湿の日本で育った楮(こうぞ)は繊維が強く、そこから作られる和紙は何百年も耐える力を持っています。まさに日本固有の宝物ですね」と後藤さん
取材協力/ゴトウ経装(きょうそう)
新潟市紫竹6−17−18
TEL.025(275)7355

写真(稲垣晴一さん) 屏風まつりがきっかけ・稲垣晴一さん
 今年で第3回を数える城下町村上「町屋の屏風まつり」(9月10日〜30日開催。約60軒の町屋が参加)。町人町一帯で行われるこの催しでは、各家伝統の屏風をはじめ昔懐かしい民具などが展示披露される。屏風まつり実行委員長を務める角長呉服店の稲垣晴一さん所有の屏風には、石山寺で源氏物語を執筆中の紫式部の様子が描かれている。屏風まつりを行うことになり、初めて自宅の蔵でこの屏風を発見したという稲垣さん。村上の町屋には、古き良き文化の面影がまだまだたくさん残っている。

「町屋の屏風まつり」問い合わせ:村上市観光協会 TEL.0254(53)2111

取材・文/渡辺祐子 撮影/相田諒二



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