みんなが集まるリビング、ダイニングは、どうしても物があふれがち。きちんと片づけて、もっと居心地のいい空間にしたいところ。すっきり暮らす収納のコツを建築家の方にうかがったほか、雑然としがちな小物などを「隠す」ことで、広がりと余裕のある空間作りをしているお宅、アクセントになるものは「見せる」ことによってシンプルな中に個性が感じられる空間作りをしているお宅を訪ねた。

使う物は使う場所に
 新聞に読みかけの雑誌、子供のおもちゃ、リビングボードの上に出しっぱなしの電卓とペン、誰のものかわからない小物、棚に入りきらないビデオテープ…。一家の団らんの場であるリビングには、家族と一緒に物も集まってくる。ちょっと気を抜くと物の巣くつになってしまうリビングをひと通り掃除するだけでも大変なのに、ここが完全なプライベート空間ではなく、時として接客の場にもなるから収納には頭が痛い。
 「リビングに集まるのは『行き先の決まっていない物』なんですよ。新聞や家族が共同で使う小物などが、とりあえずここに、という感じで置かれてしまうんです。こうした小物類は行き先を決めてそこに収納するか、もしくはリビングで使うものと割り切って、この中で収納場所を作るしかありません」
 リビングの収納のコツについて、建築士の伊藤さんはこう続ける。
 「離れた場所にまとめて収納しても、リビングで使う物なら、またリビングに戻ってきてしまいます。子供のおもちゃのように、収納場所が決まっていてもリビングに居着いてしまう物もある。こういうときはリビングで子供のために割けるスペースを決めて、その近くに収納コーナーを作るといいですね。『使う物は使う場所に』が鉄則です」
 リビング全体が雑然となるのを防ぐためには、リビング内に収納場所を確保したり、ソファや家具の配置を工夫すると効果的だ。子供が小さいうちは、くつろぎのスペースと子供の遊びのスペースを分けておくと、急な来客のときにも素早く片づけることができる。

工夫1つで雑貨もおしゃれに
 使う物と飾る物の両方が集まるリビングでは、ただ収納するだけではなく、「見せる」と「隠す」を使い分けるとより快適な空間になる。文房具や日用品は隠す、コレクションなどの趣味性の強いものは見せる収納にするのが一般的だが、日用雑貨でも、収納のしかたによっては十分におしゃれですっきりした「見せる」収納にすることができる。
 「要はお店のディスプレーの感覚ですね。本やCDをラックに並べたり、雑貨や文房具を竹かごや藤のかごに入れておいたり。ちょっとした工夫で、普段のインテリアをすっきりさせることは可能です。シンプルなパルプボックスやワインの木箱だって、なかなかかっこいいものです」
 このとき、空間全体で素材や質感、色のトーンなどを統一しておくと落ち着いた雰囲気になる。それぞれの空間に応じた収納スペースは、もちろん使い勝手もいい。リビングをセンス良く見せる秘けつは、空間の生かしかたと収納用品の組み合わせにあるようだ。

作りつけの棚ですっきり
新潟市・Hさん宅 会社経営/4人家族/一戸建て



リビング、ダイニング、キッチンが一体化しているため、ずらりと並んだ作りつけの棚が空間の広がりとさっぱり感を演出。「片づけが苦手なので、とにかく全部しまえるようにしたかったんです」
キッチン側の棚には食材や食器、キッチン小物が、キャビネットには料理の本やごみ箱も入っている。調理器具は用途ごとに分けて、シンクの下に収納してある。
玄関収納も壁と一体化したもの。「コートやブルゾンを入れるクローゼットと、靴をしまう靴箱に分かれています」

飾り棚、大小ロッカーで部屋にアクセント
三条市・Aさん宅 会社員/3人家族/一戸建て
リビング(手前)と段差で仕切られたプレールーム。窓辺の細長いデスクはAさん夫妻の書斎。横と背後にあるロッカーはさまざまな大きさを組み合わせて、リズム感をつけた。大判の雑誌でも縦置きで入る。
優しいアイボリー・ホワイトの壁にくぼみをつけて設けたダイニングの飾り棚。ギャラリー感覚を楽しめる。

リビングでひときわ大きな存在感を示す、特注のテレビ台。テープ類も一緒に収まっている。「電化製品のボディカラーがそのまま見えるのは嫌だったんです。部屋が同じ雰囲気でまとまるように、木製のテレビ台をオーダーしました」

物の定位置を決め、無駄のない動線に
新潟市・Hさん 医師/5人家族/一戸建て

基本スタンスは生活臭を感じさせない“見えない収納”。設計の段階で、どこに何をしまうのかを徹底的に打ち合わせし、収納に関する場所はすべて作りつけにした。テレビはもちろん、築約100年になるご主人の実家にあった神棚も“収納”されている。AV機器隣には電化製品説明書、ビデオなどがある。必要な場所に必要なものがしまわれ、家が広いのにもかかわらず動線が短くてすんでいる。
ご主人のご実家で使われていたという戸が、ダイニングの食器棚の引き戸になって利用されているのも注目だ。その奥にはお茶の道具や土鍋などがしまってある。
見えていいものはあえて見せる。お子さんの写真や手作りの焼き物、花器など、思い出のもの・美しいものがバランスの良い間隔できれいに配置されている。

収納専用スペースで「隠す」に徹底
新潟市・Hさん宅 自営業/5人家族/一戸建て



ワークコーナーの真後ろにある収納スペース。扉がないので、出入りや物の出し入れが楽。中には子供たちのおもちゃのほか、本やCD、新聞、掃除機などがしまわれている。
畳のコーナーに隣接するワークコーナーにはHさん夫妻共同の仕事机が置かれている。
ダイニングから見たリビングの一角には畳のコーナーを設け、ここが子供たちの遊び場になっている。向かって右手の壁の奥にはワークコーナーと3方が棚でできた収納スペースがある。「余計な物をおきたくなかったので、最初から収納専用のスペースを作りました」。収納スペース自体が隠れているので、リビングがゆったり広々とした雰囲気に。

ディスプレー感覚で衣類を見せて収納
新潟市・Nさん 20代男性/1人暮らし/アパート

就職を機に実家から4年前に移り住んだアパートは2K(バス・トイレ付き)。居間、客間、寝室を兼ねた6畳間のかもいにはファッションに欠かせない帽子が20個ほどかけられている。帽子の収納具がなかなかないので、ホームセンターで買ったS字フックを利用。何があるか一目で分かり、型崩れしないので便利。
Tシャツやトレーナー類がワンボックスを横にした棚の幅に合わせて整然とたたまれている。お気に入りのフィギュアが個性あるインテリアを色付ける。
押し入れ側のかもいには、ジャケットがずらり。「収納スペースがなかったら、自然に見せる収納になっていた」というNさん。同じ木製ハンガー、服のテイストや色目がそろっているせいか、ものが見えても雑然とした感じがない。「見せる収納」の見本のような空間だ。

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