石附弘子
1970年生まれ。新潟市在住。スタッフのみで構成されている、演劇制作集団「あんかー・わーくす」の代表。演出担当だが、最近では新潟市などで活動中のダンスユニット「ペガサスズ」に出演するなど役者としても活躍中。
http://www.anchorworks.net


遊佐未森
「空耳の丘」
(エピックレコードジャパン、2,854円)

産みの苦しみに悩んだころ

 私は、以前から東京で芝居をしており、脚本家・岡川聡氏の「真夜中の直後」という作品が大好きでした。帰郷後、劇団「MAME カラット」を旗揚げした際、岡川氏に上演したいと懇願したのですが「素人集団には 無理」と断られてしまって…。やっと公演許可をもらえたのは3年後でしたが、初演から10年たっていることもあり、同じシリーズで「真夜中の直後’00」を書き下ろしていただきました。
 作品は、「東京上空に深夜、クジラが飛ぶ」といううわさ(高層ビルの屋上にプールがあり、昼はそこで寝ていて、深夜0時になると飛び立つ)が流れ、人々はクジラを探しに、情報交換し合い、警備のうすい夜にビルの屋上へ鍵を壊しあがって行くという筋書き。一番の見せ場は主人公が屋上の扉を開けると、クジラが空に飛び立つというラストです。
 このBGMが「空耳の丘」でした。同タイトルアルバムの1曲目に収録されています。ピアノ伴奏に女声コーラスが入った曲で、メロディーは癒やし系。すぅっと未来が見えて、広がりを感じるイメージが舞台の雰囲気にピッタリで、この音楽なしにラストシーンは完成しない。扉が開く瞬間や音楽がスタートするタイミング、クジラを見上げる役者全員の息が合わないと、臨場感やリアリティーは出ないので、納得いくまでけいこしました。というか、させました(苦笑)。舞台では、実際にクジラの模型を飛ばすわけにもいかず、どう演出したらいいんだろうって悩み、毎日が必死で、産みの苦しみでした。今でも困難なことがあると、 仲間と話すんです。「あの大変さを経験したら何でもできるね」って(笑)

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