文田けい子
新潟市在住。西堀前通6番町にある「ブティック文文」のオーナー。ブティック経営のかたわら、プロのジャズシンガーとして、東京、新潟のライブハウスを中心に活動中。


「Mary Coughlan sings Billie Holiday」
(邦題「奇跡のダブリン・ライブ」シングス
ビリー・ホリデイ P−JAZZ、2枚組み2950円+税)

人生がにじむ枯れた歌声

 このCDを購入したのは3年ほど前。メアリー・コクランは、ビリー・ホリデイ同様にドラッグやアルコール依存症で幾度も入退院を繰り返すなど、波乱の人生を送ってきたようです。実際このアルバムは、退院後の復帰ライブ版。彼女は決してうまく、格好よく歌おうとはしていないんです。さまざまな経験をくぐり抜けた後の、ほどよく力が抜けた感じのボーカルが魅力的なんです。
 収録曲の中でも、私はビリー・ホリデイが作った「God BlessThe Child」(ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド)がお気に入り。この曲はいろんなシンガーが歌っていますが、メアリーの枯れた味わいの歌声に彼女の濃い人生を感じます。
 私がこのCDを聴くのはオフタイムに、部屋で1人ぼぉーっとしているときが多いですね。彼女の歌唱も素晴らしいのですが、バックのピアノ伴奏の古い音がまたなんとも言えず素朴な感じで、心地よい旋律を奏でています。きっとこのアルバムはジャズマニアじゃない人が聴いてもいいと思います。
 10年くらい前にジャズに出合って以来、すっかりそのとりこに。ジャズが大好きで愛しているのだけれど、振り向いてもらえない、まるで永遠の片思いみたい(笑)。それもジャズの奥深い魅力のひとつかな? 今はまだ発展途上で納得のいく到達点には達していないけれど、いつかこんなふうに表現して歌えるようになれたらいいなって思っています。

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