そもそも、映画「コックと泥棒、その妻と愛人」をシネ・ウインドに見に行ったのが、マイケル・ナイマンの音楽を知るきっかけでした。上映当時、映画評論家・淀川長治さんが絶賛していましたが、賛否両論あった作品。私はだんぜん称賛派です。衣装担当にはジャンポール・ゴルチェを起用していてゴージャスでしたし、ストーリー・音楽ともに打ちのめされましたね。
映像的には、かなりグロテスクなシーンも登場するのですが、劇中バックに流れるマイケル・ナイマンの音楽は上品かつエレガント。相反するようですが、不思議とマッチするんですよ。一番のお薦めナンバーは、映画の最初にかかっている曲「メモリアル」です。まったり、ねっとりとしたバイオリンの音色が、神経にグングンと響いて、1度聞いたら忘れられない印象深い音。フジテレビで放映されていた「料理の鉄人」のバックにも使われていた音楽なので、耳にしたことがある人もいると思います。従来のクラシック音楽の軽やかさとは違って、重厚で胸にズッシリとくるメロディーラインは、私が今までに聴いたことのないクラシック音楽でした。食べ物で例えるならフォアグラのようなとでもいいましょうか(笑)。サントラ盤の収録曲、オペラのマリアは独特の透明感があって、胸がキューンとせつなく、もの悲しくなるようなボーイソプラノが特徴。聴きごこちがよく、フルボディの赤ワインのお供にぜひどうぞ。この作品の監督、ピーター・グリーナウェイとマイケル・ナイマンは常にパートナーで、彼の映像にはマイケル・ナイマンにしか作れない音楽があるように思います。
|