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この作品は、2年前にシネ・ウインドで見たと記憶しています。見終わった後の「充足感」がとにかく大変強く心に残りましたね。会では毎年、メンバー各自のベストテンを選んでいるのですが、これはその年の私のベストワン。全体でも4、5位にランクインしていたはず。ストーリーがすごいとかではなく、作品の持つ独特のけん引力にひかれました。死んだと思った男が起き上がって、曲がった鼻をグイとひっぱる。「あれ、死んだんじゃなかったっけ」とあっけにとられながら、作品の世界に一層引き込まれていくんです。登場人物に美男、美女は出てきませんし、みな、無愛想で、無表情、口数も少ないけれど、作品にはユーモアがちりばめられています。主人公はトレーラーハウスを掃除し、乾いた土にジャガイモを植え、救世軍から支給された服で仕事を探す。淡々と日常生活を送る姿からは、再生への意気込みが静かに伝わってきます。過ぎ去った時間や自らの過去に拘泥することなく、生きていくために前へ歩む、その生きっぷりがすごいと思います。コンテナハウスに水をまき、デッキブラシをかけているシーンに、生きることはまず自分の位置を決めることなんだなと思いました。ラストは、恋をした救世軍の女性イルマと2人で手をつないで歩いていく−。希望の見える終わり方もよかった。監督や役者で作品を選ぶことはあまりないのですが、深夜のテレビでつい引き込まれて見てしまった「マッチ工場の少女」と同じ監督と聞いて納得しました。見ている人の気持ちを引き留めるながら、最後までストーリーを持っていく力量はすごいと思います。
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