島倉綾子
1972年西蒲巻町生まれ。新潟・市民映画館シネ・ウインドに勤務して約10年。受付、一般事務、経理、営業、広報など多方面の業務をこなす。


「アギーレ・神の怒り」
1972年(旧・西ドイツ)
製作・監督・脚本:ヴェルナー・ヘルツォーク
出演:クラウス・キンスキー、ヘレナ・ロホほか

伝説の国エル・ドラド(黄金郷)を目指し、アギーレ率いるスペイン人分遣隊がアンデスの奥地を困難と遭遇しながら突き進む。

「猫が行方不明」
1996年(フランス)
監督・脚本:セドリック・クラピッシュ
出演:ギャランス・クラベル、ジヌデイル・ヌアレムほか

行方不明になった猫を探すパリジェンヌが、さまざまな人と知り合うことで新しい自分を見つけて。


迫力の峠越えシーン
元気がでるヒロインの笑顔


 高校入学前の春休みに「カスパー・ハウザーの謎」という映画を見たのがヘルツォーク監督に傾倒したきっかけです。その時は監督の名前は気に留めていなかったのですが、その後に見て感動したカンヌ映画祭監督賞受賞の「フィツカラルド」と、「アギーレ・神の怒り」が同監督の作品であるのを知って「私は潜在的にヘルツォークのファンだったのだ」と気付きました。
 ヘルツォーク監督の魅力は、「どうしてそこまでやるのか?」というくらい、作品の画面作りにおいてどん欲であるところです。「アギーレ・神の怒り」の冒頭でアンデスの峠を越えるシーンがあるのですが、コンピューターグラフィックス(CG)ではなく、すべて生身の人間が、険しい道なき道を重い荷物を背負い、長蛇の列を作って延々と登ったというエピソードを知って、ますます圧倒されました。監督の映画作りに対する姿勢や、情熱といったものに共鳴してしまいますね。峠越えのシーンはもう一度スクリーンで見たいです。映画の中で繰り返される主人公・アギーレの非道な行動もあっぱれというか、目的に向かってひたすら突き進むさまはお見事といった感じ。一気に最後まで見てしまう作品です。
 「猫が行方不明」はパリの下町に住んでいる、ごく普通の女性が遭遇する小さな事件を優しいまなざしで描いた映画。とにかく作品全体のノリが大好きなんですよ。主人公のクロエが同年代という設定で自然に溶け込めましたし、人との出会いによって今まで自分の生活で見えていなかった部分を一つひとつ発見していく姿に共感を覚えました。
 私自身パリに2回行ったことがあるので、自分が歩いた街並みに似た風景が映像として出てくると親近感がわきます。ラストシーンでクロエがパリの街をほほ笑みながら走るシーンが一番好き。とても晴れやかでチャーミングな笑顔で、見ているこちらもどんどん元気が出てくるというのでしょうか。とてもさわやかな、同世代の女性にぜひ見てもらいたい映画です。
 ヘルツォークにしても、クラピッシュにしても、もっと多くの人に見てほしい。これからも自分の勤めているシネ・ウインドで、今回挙げた監督の作品はもちろん、世界中のさまざまな映画を新潟の皆さんに紹介していきたいです。

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