窪田明則
新潟NPO協会事務局に勤務のかたわら、「新潟シネ・ウインド」、「にいがた・骨髄バンクを育てる会」のボランティアスタッフとしても活動中。今年の映画観賞数の目標は100本。田上町出身、28歳。


「忘れられぬ人々」
(2000年 日本)
監督:篠崎誠
出演:三橋達也、大木実、青木富夫ほか
(発売元:タキコーポレーション、東芝エンタテインメント 販売元:タキコーポレーション 4,935円)

郊外で畑の世話をしながら1人つつましく暮らす木島、老婦人に一目ぼれをして心ときめかせる伊藤、妻の余命が残り少ないと知りながらも気丈に日々を過ごす居酒屋主人の村田。3人はかつての戦友同士。今はそれぞれの人生を穏やかに歩んでいる。が、ふとしたことから彼らは思いも寄らぬ事件に巻き込まれてゆく。生きることの勇気と希望を描いた人間ドラマ。


邦画黄金期を支えた役者の演技が光る

 公開が決まったとき、三橋達也さん、大木実さん、青木富夫さん、この3人が出ているのだからもうこれは見るしかない!と思いました。劇場では3回、もちろんDVDも購入しました。篠崎誠監督が新潟に来たとき、作品への質問に1つひとつ丁寧に答える姿がとても印象的で、大好きな監督だということも作品を何度も見る理由のひとつです。
 映画をよく見るようになったのは大学生になったころからでしょうか。いろんなジャンルのものを見ましたが、なぜか古い時代の映画にひかれます。今回とりあげた作品は比較的最近のものなのですが、三橋達也はじめ、かつての日本映画の黄金期を支えてきたような人たちが今もかっこよく、りんとした演技をみせているところが実にいいですね。亡くなった私の祖父が主人公らと同年代にあたるということもあって、戦争体験後の生き方など、つい重ねて見てしまう部分もあります。
 なんといっても大木実が演じる居酒屋主人とその妻を演じる内海桂子さんの会話のシーンが見ていてしみじみとした気持ちになります。青木富夫のひょうひょうとした演技にもにやりとさせられますし。なのに、まさかあのような結末になってしまうとは…。
 未来への希望を託すかのようにハーモニカが手渡されるシーンがせめてもの救いでしょうか。今の世の中、善も悪も判別のつかない時代ですが、そんな中でも「守らなければならないものがある」、「毅然(きぜん)として生きていく」という強い信念が伝わってくる、そんな作品です。

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