「惑星ソラリス」が日本で上映されたのは1977年、4月。私が初めて見たのはその数年後、大学生のときでした。あのころは、映画の持つ哲学的な意味や、描かれている人間の苦悩などはよく分かりませんでした。ただ、主人公の住む家が美しい森の中にあって、流れる水や濃い緑の映像がとにかくきれいだったことを覚えています。映画の中では、それは地上の現実の世界なのですが、私にとっては夢の世界のようでした。
映画そのものは、165分ととても長いのですが、ストーリーとは関係のない場面がたくさん出てくるのも面白いところです。東京の首都高速で撮影された未来都市のシーンは「いったい何分続くのか」と心配になったほど。また、宇宙ステーションの中の図書室にはミロのビーナスをはじめ、さまざまな彫刻や絵画が飾られているのですが、その中のブリューゲルの絵がとても長い時間をかけて撮影されているのが印象的でした。絵を扱う仕事をしているので、やはり映画に出てくる絵や彫刻などは気になりますね。タルコフスキーの作品には絵が必ず出てくるといわれていますが、多くは直接、筋に関係のない「必要な無駄」ともいえるもの。水や、火、人間も象徴的に登場し、映像がとても美しいです。
画廊「Full Moon」をオープンしたのも、もともと絵を見ることが大好きで、「新潟絵屋」(新潟市並木町の企画画廊)の運営委員をしていたことからでした。秋には2階も改装し、誰でも気軽に絵を楽しみ、新潟の町屋の風情を味わってもらえる、そんな空間にしたいと思っています。
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