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練られたシナリオが秀逸 | |
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「女の年は首と手に出てくる」―。なんだかドキッとしますよね。映画「悲愁」に出てくる老プロデューサーのせりふです。本当は、同じビリー・ワイルダー監督のこの「悲愁」がぜひもう1度見たい1本でした。ところが、これが市内どこのレンタルビデオ店にも置いてないんですよね。 もともとハリウッド大作よりは、娯楽映画が大好きでした。感動を1回で十分味わうものより、何度も見て、小さな発見を積み重ねていくほうがずっと魅力的だから。それに映画を見るって、個人的な体験でしょう。暗闇の中に、1人すっぽりと身をひそめている、あのひと時がいいんですよね。 学生のころ通った名画座は、2本立て500円くらいでした。年間100本は見ていたでしょうか。中でも、ワイルダー監督の作品は、コメディーが多いのですが、ちょっとひねってあり、どこか冷めた視線が感じられる点にひかれますね。 今回の「アパートの鍵貸します」も、すでに10回は見ました。とにかく、脚本が面白いんです。これ以上練られたシナリオは他にはないでしょう。いろんな場面、出てくる小道具、一つひとつにすべて意味がある。うまく伏線が張ってあるんです。 例えば、主役のジャック・レモンが彼女(シャーリー・マクレーン)のためにパスタをゆでるシーンがあって、なぜか湯きりにテニスのラケットを使うんです。でも後で1人になってそのラケットをふと見ると、乾いたパスタが1本だけからまっている。独り身になった自分と1本のパスタになんともいえない切なさを感じます。 ドキュメンタリー映画に携わってから、お年寄りのしわ1本でも多くのことが語れるんだと知りました。でも、この作品には「作りこまれたお話」の面白さがあります。あらすじだけ聞いたらかなりとんでもない話だけど、ワイルダー監督だからこそできた品のよさが感じられるんですよね。 今夜あたり、シャンパンを用意して11回目の映写会といきますか。 |
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