「デリカテッセン」はあの「アメリ」のジャン・ピエール・ジュネ監督の作品だけに、随所に独特のユーモアがちりばめられた作品です。印象深いシーンは、主人公の男性がベッドのスプリングを修理するところや階段の踊り場で同じアパートに住む子供たちに大きなシャボン玉を作ってみせるところ、あと自殺願望の強い女性がなかなか死ねないシーンは思わず笑ってしまいました。ストーリーや主役2人の恋の行方よりも何気ない、たわいないシーンの方が心に残っています。設定は近未来なのになぜか映像は全体的に暗く、セピア色がかった印象です。水のシーンやおどろおどろしい場面も多いので、好き嫌いがはっきり分かれるかもしれません。
初めて見たのはもう10年以上も前です。公開当時、情報誌で見つけて面白そうだなあと銀座の映画館まで足を運びました。そのころ、東京で働いていたのですが、妻が長岡の出身ということもあり、95年に長岡へ。会社勤めの後、01年に「ろば屋」を開きました。お店では作家さん30人くらいの作品を扱っています。
この映画が今も心に残っているのは、あおるように笑いや感動を“強要”してくるメディアや芸術が多い中、淡々と人間のおかしみや切なさを見せながら、見終わった後で、ほのぼのとした不思議な元気を与えてくれるからでしょう。私もそんな静かに、淡々と心にしみてくるような作品をろば屋からご紹介していけたらと思っています。
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