この映画は今までで一番泣いた映画です。ラストの7、8分、駅のホームを中山美穂演じる陽子が走って来るあたりから、とび乗った電車の床に座り込んだ2人が、目を合わせながら笑い転げるシーンで、自分でもどうすることもできないくらい泣いてしまうんです。もう涙で画面が見えなくなるほどの号泣。ビデオを購入し何度見ても、毎回同じラストシーンで泣いてしまう(笑)。
作品は、写真が連続したような作り方で、あまり映画っぽくない仕上がりです。「スチールを撮るなら、きっとこんなふうに撮るだろうな」って感じで、ショットが非常に写真的。雑然とした東京の町並みが、オレンジがかった温かみのある映像でとらえられ、まるで自分が今そこにいて、同じ空気を吸っているかのような臨場感があります。
最初に入るナレーション「どういうわけか、ふたりにとって最悪の日々だったあのころのことばかりが、思い出されてならない…」という竹中直人のセリフがすごく印象的でした。主人公は妻の存在自体がいとしくてたまらなかったと思うんですよ。その美しい存在をすべて受け止めて、その瞬間を撮って残しておきたい…と。主人公が妻を見る視線と、自分がものを見る_被写体にカメラを向ける_視線とがあまりにも近くてシンクロします。自分の感性と映画の中のこととが境界線がないくらいリアルな感覚…。そんなふうに心に残る作品でした。
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