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10年に1本の傑作 | |
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この映画は、公開された年に古町通6にあった「カミーノ」のシネマで見ました。3回くらい足を運んで見たでしょうか…。テレビ放映を含めればもっと見ているかもしれません。当時、サークル「昼下がりの映画サロン」で発行した文集を読みますと、「10年に1本の傑作である」と載せてあり、非常に印象深い映画です。最初に見たときは本当に心を奪われました。次はどうなるのだろう?と期待を持たせつつ、謎解きのような手法で持って行く、その独特のストーリー展開が見事で、あっという間に時間がたったのを覚えています。冒頭の音楽シーンも圧倒されました。劇中音楽はダイナミックで、ボリュームたっぷりのオペラシーンも聴き応え十分ですよね。衣装や宮廷の装飾、ウィーンの町並みなどいろんな楽しみ方ができる作品だと思います。一般的に「天才モーツァルト」と「凡庸なサリエリ」の対比と評されますが、私自身サリエリは決して凡庸な人物でなかったと思います。 神に敬虔(けいけん)なる祈りをささげたにもかかわらず、自分には才能が与えられず、神はモーツァルトを選んだ。その絶望からモーツァルトを恨み、無き者にしようとわなを仕掛けていくわけですが、実にうまいんですね。巧妙なんです。モーツァルトの父親に扮装(ふんそう)し、精神的に追い詰められている彼に、あえてレクイエム(鎮魂歌)を依頼するあたりは、頭の回転が速い一面がうかがい知れますし、かなりの策士だと思いました。彼はせん望やしっと心をごまかさないでしょう? 私は何度か見るうちにそんなサリエリをすごく人間的だと思うようになりました。モーツァルトに言われるままにレクイエムの楽譜を書き上げるクライマックスシーンでは、憎しみだけでなく、彼の音楽の理解者であるが故の愛情すら感じられるんです。時代が変化しても人間の感情は変わらないもの。愛憎入り交じった普遍的な人間のさがが全編通じてよく描かれていると思います。モーツァルトの才能を見抜くだけの力量があり、誰よりも彼の音楽の素晴らしさを知ることができる、優れた音楽家であったことがサリエリの不幸であったのかもしれませんね。 |
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