河内 亜古
新潟市出身。薬品会社勤務の32歳。第1期にいがた映画塾塾生。ジャンルにこだわらない映画・演劇・音楽ファン。


「ルパン三世〜ルパンVS複製人間〈クローン〉」
(1978年)東宝映画
原作:モンキー・パンチ 監督:吉川惣司
声の出演:山田康雄、増山江威子ほか

ルパンが処刑された!? だがそれはルパンのコピー人間でしかなかった。それを操作したのは世界征服をたくらむマモー。本当のルパンとマモーとの戦いを描く壮大なストーリー「ルパン三世」初の劇場用長編アニメーション。 (東宝ビデオ レンタル中)

「オール・アバウト・マイ・マザー」
(1999年)スペイン
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
出演:セシリア・ロス、マリサ・パレデスほか

最愛の息子の死を乗り越えるため旅立つ移植コーディネーターの母マヌエラ。その道のりは行方不明の夫を探し、“女”としての自分を取り戻す再生の旅でもあった。
(アミューズピクチャーズ 16,000円+税 ○C EL DESEO S.A./RENN PRODUTIONS/FRANCE 2 CINEMA.1999.)


“大人”へのあこがれ…、
“女くささ”へのあこがれ


   私の子どものころの将来の夢は「泥棒」…。このきっかけは、小学2年の時から夢中になって見たテレビ「ルパン三世」の影響が大なのです。その後、ルパンシリーズはすべてチェック。今やプレミアがついているというLPレコードも買い集めました。
 子どもながらに「大人へのあこがれ」がとても強かった私にとって、その小粋でかっこいい大人っぽさを一番感じたのが「ルパン三世」でした。特にお色気たっぷりの峰不二子には強いあこがれを抱きましたね。そんな私も大人になってからは、ひそかに不二子に恋心を抱いていると思われる次元のキャラクターに男の哀愁を感じてしまい、気にいっています。(笑)
 さて、数あるルパンシリーズの中でなぜこの「ルパンVS複製人間<クローン>」なのかというと、私が見る限り、原作の“におい”に一番近い気がするからなのです。実はモンキーパンチが描く原作というのは描写などかなり激しく、その雰囲気が映像に表れているのがこの作品なんですね。
 この映画の題材になっているのが「クローン」。クローンという言葉がメジャーになったのが今から5〜6年前だとすれば、この映画はそれを予感しているかのようで、そのクローン(コピー人間)にも限界があるってことを警告するような内容には、現代にも問題を投げかける深い意味がこめられている気がして驚かされます。最後、ルパンと戦うマモーが静かに爆発するシーンは、何だかとても物悲しい気分にさせられるのです。
 この映画の見所は山田康雄をはじめ三波春夫や西村晃といったそうそうたる声優人はもちろんのこと、ち密な背景も見逃せません。キリコ、ダリなど世界の名画や歴代のクラシックカーが出てきますし、ルパンの服にいたってはピエール・カルダンを着ているってごぞんじでしたか? 何回見てもそのたびごとに発見があり、飽きないのです。
 まったくジャンルは変わりますが、もし「女」という映画のジャンルがあるとしたら私がその代表格にあげたいのが、スペインのペドロ・アルモドバル監督の最新作「オール・アバウト・マイ・マザー」です。
 なぜこんなに女性のことを知り尽くしているのだろう?と疑問に思ってしまうのですが、この監督の作品を見るとつくづく「女に生まれてよかった」と実感してしまうのです。
 登場人物たちの、本能のおもむくまま、感情が服着て歩いているかのようなラテン系の熱い感じに自然とあこがれを抱いてしまいます。
 この映画の背景も、その情熱を示すかのような鮮やかな原色の色使いが印象的で、実は衣装や家具、オーディオに至るまで、ものすごい数の名立たるブランドが使われているのですが、どれもこれもに命がふきかけられ生活感が漂って、まったく嫌味なく日常に同化している感じなのです。まるで見ているだけで汗と香水のにおいがしてきそうな「女くさい映画」なのです。そこがアルモドバル監督の手法というかこだわりなんでしょうけれど…。男女問わず見ていただきたい映画ですね。

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