柚木崎寿久(左):読書好きのフリーライター。毎回ゲストの方と本についてあれこれ語ります。
倉林 章:コピーからエッセーまで、何でも屋の駆け出しライター。企業サイトを中心に活動中。


シリーズ 「あらしのよるに」
1―6部(講談社) 1000円(税別)

嵐の夜、同じ小屋に駆け込んだ羊のメイとオオカミのガブがいた。暗闇の中、お互いを仲間と思い、会話を続けるうちに友情を抱いていく。再会の約束を果たし、食うもの、食われるものというお互いの関係を知る2匹だが、何度も会ううちに強いきずなが生まれていく。そんな秘密がお互いの仲間に知られてしまい…。
作者の木村裕一は仕掛け絵本の第一人者。
「あかちゃんのあそびえほん」シリーズ(偕成社)は600万部を超す大ベストセラー。絵のあべ弘士は元旭川市旭山動物園の飼育係。


 
外見にとらわれない本音の付き合い

:この作品は差別や偏見という問題についても重複して考えられる内容ですし、いろんな視点から読めるんです。
:友情はもちろん、若い女性にとっては恋愛をだぶらせることもできますね。
:お互い種類の異なる動物なのに、障害や外見にとらわれずに本質を好きになって友情をはぐくむという点は、今の社会で言えば、ネットで友人をつくる「メル友」に似ているんじゃないでしょうか。
:それは面白いたとえですね。私の知人でもネットで知り合って結婚した方がいますが、案外その方が理想的な出会いかもしれませんね。
:今の若者には、本当の友人はネットの中にいるという人が多いそうです。顔が見えない分、本音を言いやすいせいでしょうか。私が思うに、人間関係は2種類に大別される気がします。ひとつは内面重視の付き合い。もう一つは外面にとらわれた仲。この物語は前者でしょう。
:2巻目を出版するまで2年間のブランクがあります。作者としては、1巻で終わらせるつもりだったのかなとも思いました。
:お話自体1巻で終わっても全く不自然ではない構成ですからね。
:1巻は、リドルストーリー(読者に話の結末を導かせる文章技巧)になっている。でも、それじゃ読者が許してくれなかった(笑)。続きは?ということでシリーズになったのかもしれません。この作品でとても印象に残ったのは、主人公たちが仲間ではなく、友人を選んだことです。そもそも、この本を読むきっかけはなんだったんですか?
:教材を扱う書店に勤めていたころ、ある教科書に掲載されていた(2000年度から2年間、光村図書の小学4年生の国語教科書に採用)のを読んで、はまってしまいました。

今回のメントリ表
柚木崎
倉 林

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