柚木崎寿久(左):読書好きのフリーライター。月に10冊以上のペースで読破。好きなジャンルは小説。
矢澤ひろみ:富山県出身。結婚後、ご主人の転勤で新潟へ。2人の子供たちとの時間も大切にしながら趣味の読書も楽しんでいる。豊栄市在住。


「華の下にて」
内田康夫著。(幻冬舎文庫)
648円(税抜)

桜の舞う古都、京都で国際生花シンポジウムが開催された。その京都で、雑誌記者が殺された。「国際生花シンポジウムのある二日間におもしろいことがある」という言葉を残して。予言は的中し、会場で新たな殺人事件が起こる。裏には、500年の歴史と伝統を誇る華道家元の座をめぐる継承問題、さらに保守と革新との闘争が激しく繰り広げられていた。ルポライター、浅見光彦は事件を追って、華の京都に向かう。内田康夫は1934年東京生まれ。コピーライター、テレビCM制作会社経営を経て、80年、作家デビュー。著書に「天河伝説殺人事件」「皇女の霊柩」など。TVドラマや映画化された作品、多数。本著は内田作品100冊目にあたる。


古都を舞台に光る推理

:内田康夫と言えば、誰でも1度は名前を聞いたことがある売れっ子作家ですよね。
:ドラマ化された作品も多く、テレビの影響が大きいのではないでしょうか。
:矢澤さんもドラマを見て読み始めたのですか。
:いいえ。映画なんです。会社に勤めていたころ、上司が「天河伝説殺人事件」のチケットを1枚だけくれたんです。もちろん行きましたよ、1人で(笑)。そこで、主人公の浅見光彦の好青年ぶりを見て一気にファンになりました。
:私はテレビドラマで知りました。最初に思ったのは、「水戸黄門的なつくりだな」ということです。
:どういうことですか?
:だって、浅見光彦が事件に首をつっこむと警察は最初冷たくあしらうのに、彼のお兄さんが警視庁の局長だと知ると、「ははぁー」って一気に態度が変わるじゃないですか(笑)。しかも、旅情ミステリーで日本各地が舞台になっている。まさに水戸黄門ですよ。日本人が大好きな話の展開ですよね。
:確かに、そこはひとつの見所ですね。今回の「華の下にて」には、残念ながら出てきませんけど。
:数ある内田作品の中で、この1冊を選ばれたのはどうしてですか?
:タイトルの美しさに魅かれました。内田康夫の作品は「〜事件」というのがものすごく多いんです。「華の下にて」は、もうそれだけで心ひかれるものがありました。
:読ませどころはどこでしょう。
:やはり、人間模様ですね。京都の華道家元家の内情なんて、一般人の私たちには想像もできないじゃないですか。でも、これを読んで子を思う親の気持ちはどんな家でも変わらないというか、知らない世界の話だけど人間はみんな同じなのだなあ、とあらためて感じました。
:京都も華道もどちらも独特の世界がありますからね。私は大学が京都だったこともあって、読んでいて、街の情景が目に浮かびました。こんなにたくさん本を出しているのに、「しっかりと取材しているんだなあ」と感心したくらいです。
:自分も行ったことがある場所が舞台だと、作品にも親近感がもてますよね。浅見光彦は全国制覇したんですよ。新潟でも、佐渡や新津、月潟に来ています。「アサミスト」と呼ばれる人たちまでいるんですよ。
:「アサミスト」とは?
:浅見光彦の熱狂的ファンのことです。どんなに作品が出ても、浅見光彦は永遠に33歳の好青年なんです。ドラマでも辰巳琢郎、榎木孝明、最近では沢村一樹と役者も世代交代しています。私も彼と出会ったころは年下だったのにいつの間にか追い越してしまいました。彼の人柄が女性をひきつけてやまない魅力なのでしょうね。
:役者が交代!? うーん、ますます水戸黄門的ですねぇ(笑)。


今回のメントリ表
柚木崎
矢澤

戻る